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訪問介護・通所介護の現状-介護職員不足は、どのように解消すべきか?
保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員 篠原 拓也
5――介護スタッフの働きがい
6――おわりに (私見)
事業の経済性を確保するためには、両サービスとも、まず、利用頻度(利用回数、利用者数)を高めることが必要と考えられる。その上で、大都市で有利な訪問介護、地方都市で有利な通所介護、というそれぞれのサービスの特性を踏まえて、事業を展開することが重要となる。
その際、鍵となるのは、介護職員である。近年、介護職員の処遇改善の問題が取り沙汰されてきたが、給与面では、介護職員処遇改善加算などの政策効果が徐々に現れてきた。ただし、訪問介護では、職員の大半を占める非常勤・時給の職員の給与の伸びが、常勤・月給の職員の給与の増加割合を下回っており、効果の発現は道半ばと言える。
併せて、介護職員の労働条件や、キャリア形成についても、改善に向けた取り組みが必要と言える。特に、人手が足りないなど、労働環境の厳しさは、徐々に増している。その上、介護業務に対する社会的評価が低いとの不満が年々高まっており、注意を要する。ただし、離職率を見ると、常勤雇用者は高いものの、非常勤雇用者は全産業よりもむしろ低い。職員が介護職に就く際に持っている高い職業意識を、就職後も保持し続けられるよう促すことで、定着率の引き上げは可能と考えられる。そのために、介護職の常勤化や正規雇用化を進めるとともに、賃金や労働条件の一層の改善を図る必要があろう。これにより、介護事業が安定化し、介護サービスの質の向上につながることが期待される。
特に、介護業務に対する社会的評価については、介護業界だけではなく、社会全体で理解を深めていく必要があるものと考えられる。今後も、引き続き、訪問介護・通所介護等の展開に注目していくことが求められよう。
保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員
篠原 拓也 (しのはら たくや)
研究・専門分野
保険商品・計理、共済計理人・コンサルティング業務
03-3512-1823
- 【職歴】
1992年 日本生命保険相互会社入社
2014年 ニッセイ基礎研究所へ
【加入団体等】
・日本アクチュアリー会 正会員
(2017年05月23日「基礎研レター」)
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