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訪問介護・通所介護の現状-介護職員不足は、どのように解消すべきか?

保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員 篠原 拓也
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1――はじめに
そこで、在宅介護の役割が重要となる。在宅介護は、自宅などで生活をしながら、介護サービスを受けるものである。本稿では、在宅介護の二本柱である、訪問介護と通所介護を、概観していく。
日常の介護において、多くの事業所で提供されているサービスは、訪問介護と通所介護と言える。
1 医師、歯科医師、看護師、介護福祉士、薬剤師、理学療法士、作業療法士、栄養士などの5年以上の実務経験(900日以上の従事日数が必要)のある人が、試験、研修、レポート提出を経て、資格を取得するもの。
3――訪問介護・通所介護サービスの需給
2 事業所の構成を見ると、株式会社等の営利法人が70%、社会福祉法人、NPO法人、医療法人がこれに続いている。公的介護保険制度の開始から15年間、営利法人の参入が進んでいることで、介護サービス供給の厚みを増す結果となっている。
4――訪問介護・通所介護サービス事業の経済性
1|訪問介護は、利用回数が少ない事業所では採算割れとなっている
訪問回数1回あたりの収入は、回数の増加とともに逓減する。訪問介護には、入浴や食事の介助など身体介護中心のものと、掃除や調理の支援など生活援助中心のものがある。介護報酬上、身体介護の方が、生活援助よりも単価が高い。通常、小規模事業所は高単価の身体介護を行うことが多い。逆に、大規模事業所は多回数で低単価を補う生活支援を志向しやすい。一方、人件費等の訪問回数1回あたりの支出は、収入を上回る勢いで減少する。これにより、利用回数が少ない小規模事業所では採算割れ、回数が多い大規模事業所では黒字確保のケースが目立ち、利用頻度により収益性が大きく異なる結果となっている。
3 介護報酬では、地域ごとの人件費の違いを反映している。具体的には、全国を、1級地(上乗せ20%)~7級(同3%)と、その他(上乗せなし)に分けて、地域ごとの上乗せ率と、サービスごとの人件費率を用いて、報酬単価を調整している。
4 介護報酬上、サービスごとの人件費率は、訪問介護70%、通所介護45%とされている。
(2017年05月23日「基礎研レター」)

保険研究部 主席研究員 兼 気候変動リサーチセンター チーフ気候変動アナリスト 兼 ヘルスケアリサーチセンター 主席研究員
篠原 拓也 (しのはら たくや)
研究・専門分野
保険商品・計理、共済計理人・コンサルティング業務
03-3512-1823
- 【職歴】
1992年 日本生命保険相互会社入社
2014年 ニッセイ基礎研究所へ
【加入団体等】
・日本アクチュアリー会 正会員
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