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- 貸出・マネタリー統計(17年4月)~マネーの伸びは高水準、投信の減速は止まらず
2017年05月12日
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1.貸出動向: 貸出の伸び率は引き続き高水準
次に、為替変動等の影響を調整した「特殊要因調整後」の銀行貸出伸び率(図表1)1を見ると、直近判明分である3月の伸び率は前年比3.0%と2009年6月(3.1%)以来の高水準を更新した。前述の見た目の銀行貸出の伸び率が昨年9月以降に大きく上昇した要因として、円高の一巡(図表3)に伴って外貨建て貸出の円換算額が持ち直したことも影響しているが、為替変動の影響を除いた実勢としても、増勢基調は強まっている。
4月分に関しては未判明だが、為替の前年比が若干円安方向に振れた(見た目の伸びの上昇要因)にも関わらず、見た目の伸びが若干低下していることから、特殊要因調整後の伸びは見た目の伸びよりも前月比で低下したと推測される。ただし、それでも高い伸び率であることに変わりはないだろう。
1 特殊要因調整後の残高は、1カ月遅れで公表されるため、現在判明しているのは3月分まで。
4月分に関しては未判明だが、為替の前年比が若干円安方向に振れた(見た目の伸びの上昇要因)にも関わらず、見た目の伸びが若干低下していることから、特殊要因調整後の伸びは見た目の伸びよりも前月比で低下したと推測される。ただし、それでも高い伸び率であることに変わりはないだろう。
1 特殊要因調整後の残高は、1カ月遅れで公表されるため、現在判明しているのは3月分まで。
2.主要銀行貸出動向アンケート調査: 中小企業向けを中心に増勢が鈍化
日銀が4月21日に発表した主要銀行貸出動向アンケート調査によれば、2017年1-3月期の(銀行から見た)企業の資金需要増減を示す企業向け資金需要判断D.I.は4と前回(昨年10-12月期)の7から低下した。D.I.は長らくプラスが続いており、依然として「増加」が優勢な状況ではあるが、勢いとしてはやや鈍化してきているとの実感が示されている(図表5)。
企業規模別では、大企業向けが0(前回は1)と若干の低下に留まった一方で、前期の牽引役となっていた中小企業向けが4(前回は8)とかなり低下し、増勢が弱まっている(図表6)。中小企業では特に製造業で大幅な低下(前回4→今回▲2)がみられる。
資金需要が増加したとする先に、その要因を尋ねた問いに対しては、大企業については「貸出金利の低下」、中小企業については「設備投資の拡大」を挙げた先が最も多かった。
個人向け資金需要判断D.I.は7と、前回の8から若干低下(図表5)。主力の住宅ローンが横ばい、消費者ローンはやや上昇した。依然として企業向けよりも需要が高いが、やや長い目でみると、マイナス金利政策の影響で貸出金利が大きく低下した2016年4-6月期(14)をピークに、増勢が緩やかに鈍化してきている。
企業規模別では、大企業向けが0(前回は1)と若干の低下に留まった一方で、前期の牽引役となっていた中小企業向けが4(前回は8)とかなり低下し、増勢が弱まっている(図表6)。中小企業では特に製造業で大幅な低下(前回4→今回▲2)がみられる。
資金需要が増加したとする先に、その要因を尋ねた問いに対しては、大企業については「貸出金利の低下」、中小企業については「設備投資の拡大」を挙げた先が最も多かった。
個人向け資金需要判断D.I.は7と、前回の8から若干低下(図表5)。主力の住宅ローンが横ばい、消費者ローンはやや上昇した。依然として企業向けよりも需要が高いが、やや長い目でみると、マイナス金利政策の影響で貸出金利が大きく低下した2016年4-6月期(14)をピークに、増勢が緩やかに鈍化してきている。
今後3ヵ月の資金需要については、企業向けが3(4-6月期実績比で1ポイント低下)、個人向けも3(同4ポイント低下)となっている。どちらも銀行全体としては、引き続き緩やかに増加するとの見立てになっている(図表5)。
(2017年05月12日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1870
経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
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