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- 【2月米個人所得・消費支出】個人所得は堅調も、個人消費は実質ベースで2ヵ月連続のマイナス
2017年04月03日
1.結果の概要:個人所得は予想通りも個人消費は予想を下回る
3月31日、米商務省の経済分析局(BEA)は2月の個人所得・消費支出統計を公表した。個人所得(名目値)は、前月比+0.4%(前月改定値:+0.5%)となり、前月から伸びが鈍化、市場予想(Bloomberg集計の中央値、以下同様)には一致した。一方、個人消費支出(名目値)は、前月比+0.1%(前月:+0.2%)と、前月から伸びが鈍化、市場予想(+0.2%)も下回った(図表1)。価格変動の影響を除いた実質個人消費支出は、前月比▲0.1%(前月改定値:▲0.2%)と、前月からマイナス幅は縮小したものの、2ヵ月連続でマイナスとなり、プラスに転じるとの市場予想(+0.1%)を下回った(図表5)。貯蓄率1は5.6%(前月:5.4%)と2ヵ月連続の上昇となった。
価格指数は、総合指数が前月比+0.1%(前月:+0.4%)と前月を下回ったものの、市場予想には一致した。また、変動の大きい食料品・エネルギーを除いたコア指数は、前月比+0.2%(前月:+0.3%)と、こちらも前月を下回る一方、こちらも市場予想には一致した(図表6)。なお、前年同月比では、総合指数が+2.1%(前月:+1.9%)、コア指数が+1.8%(前月改定値:+1.8%)となった(図表7)。
1 可処分所得に対する貯蓄(可処分所得-個人支出)の比率。
価格指数は、総合指数が前月比+0.1%(前月:+0.4%)と前月を下回ったものの、市場予想には一致した。また、変動の大きい食料品・エネルギーを除いたコア指数は、前月比+0.2%(前月:+0.3%)と、こちらも前月を下回る一方、こちらも市場予想には一致した(図表6)。なお、前年同月比では、総合指数が+2.1%(前月:+1.9%)、コア指数が+1.8%(前月改定値:+1.8%)となった(図表7)。
1 可処分所得に対する貯蓄(可処分所得-個人支出)の比率。
2.結果の評価:所得対比でみた個人消費は、2ヵ月連続で伸び悩み
2月は、名目個人消費の伸びが個人所得を下回ったことから、貯蓄率が16年10月以来の水準に増加した(図表1)。労働市場の好調から所得環境が改善する中で、ここ2ヵ月は消費が伸び悩む状況となっている。個人消費は後述するように公共料金などの不振の影響が大きいことから、暖冬などの要因に伴う一時的な減速と考えられる。
ヘルスケア法案に対する稚拙な対応など、トランプ大統領の政策遂行能力には疑問が投げかけられており、これまで堅調であった株式市場は上昇が一服する動きがみられている。しかしながら、消費者センチメントは依然として堅調を維持していることから、トランプ大統領の経済政策に対する期待剥落による消費鈍化とは考え難い。
物価(前年同月比)は、コア指数が+1.7%から上方修正された前月値に一致するなど安定している一方、総合指数が3ヵ月連続で上昇し、12年4月以来の2%超となるなど、エネルギー価格上昇に伴う物価上昇圧力の高まりがみられる。もっとも、足元では原油価格が安定しているほか、原油相場が16年2月に底値をつけていたことを考えると、3月以降の物価上昇ペースは鈍化が見込まれる。
ヘルスケア法案に対する稚拙な対応など、トランプ大統領の政策遂行能力には疑問が投げかけられており、これまで堅調であった株式市場は上昇が一服する動きがみられている。しかしながら、消費者センチメントは依然として堅調を維持していることから、トランプ大統領の経済政策に対する期待剥落による消費鈍化とは考え難い。
物価(前年同月比)は、コア指数が+1.7%から上方修正された前月値に一致するなど安定している一方、総合指数が3ヵ月連続で上昇し、12年4月以来の2%超となるなど、エネルギー価格上昇に伴う物価上昇圧力の高まりがみられる。もっとも、足元では原油価格が安定しているほか、原油相場が16年2月に底値をつけていたことを考えると、3月以降の物価上昇ペースは鈍化が見込まれる。
3.所得動向:賃金・給与は16年9月以来の高い伸び
個人所得の内訳をみると、賃金・給与が前月比+0.5%(前月:+0.4%)と高い伸びであった前月からさらに加速し、16年9月以来の水準となった。雇用増加が持続する中、労働需給はタイト化しており、雇用増加が賃金上昇に繋がり易くなっていることから、引き続き賃金・給与の堅調な伸びが持続しよう。一方、利息・配当収入は+0.2%(前月:横這い)と、こちらも3ヵ月ぶりの高い伸びとなった(図表2)。
個人所得から社会保障支出や税負担などを除いた可処分所得(前月比)は、名目値が+0.3%(前月:+0.4%)、価格変動の影響を除いた実質ベースが前月比+0.2%(前月:▲0.1%)と、名目値は前月から伸びが鈍化した一方、2月は前月比でみた物価上昇が鈍化したことから、実質値は前月からプラスに転じた(図表3)。
個人所得から社会保障支出や税負担などを除いた可処分所得(前月比)は、名目値が+0.3%(前月:+0.4%)、価格変動の影響を除いた実質ベースが前月比+0.2%(前月:▲0.1%)と、名目値は前月から伸びが鈍化した一方、2月は前月比でみた物価上昇が鈍化したことから、実質値は前月からプラスに転じた(図表3)。
4.消費動向:財消費の伸びが鈍化
名目個人消費(前月比)は、財消費が横這い(前月:+0.5%)と前月から伸びが鈍化する一方、サービス消費は+0.1%(前月:+0.1%)と前月並みの伸びとなった(図表4)。
財消費では、耐久財が▲0.1%(前月:▲0.6%)とマイナス幅は縮小したものの、2ヵ月連続のマイナスとなったほか、非耐久財が横這い(前月:+1.0%)と前月から伸びが鈍化した。耐久財では、自動車・自動車部品が▲0.3%(前月:▲3.5%)とマイナス幅が大きく縮小した一方、非耐久財では食料・飲料が+0.2%(前月:+0.8%)と伸びが鈍化したほか、衣料・靴が▲0.6%(前月:+0.9%)、ガソリン・エネルギー関連が▲1.3%(前月:+3.2%)と、前月からマイナスに転じた。
サービス消費は、住宅・公共料金が+0.1%(前月:▲1.0%)と前月からプラスに転じた一方、交通が▲0.1%(前月:+0.4%)、外食・宿泊が▲0.2%(前月:+1.7%)と、前月からマイナスに転じるなど、まちまちの結果となった。2月の住宅・公共料金は前月に大きく落込んだ後の戻りが弱く、暖冬による暖房消費の低迷によるとみられる。
財消費では、耐久財が▲0.1%(前月:▲0.6%)とマイナス幅は縮小したものの、2ヵ月連続のマイナスとなったほか、非耐久財が横這い(前月:+1.0%)と前月から伸びが鈍化した。耐久財では、自動車・自動車部品が▲0.3%(前月:▲3.5%)とマイナス幅が大きく縮小した一方、非耐久財では食料・飲料が+0.2%(前月:+0.8%)と伸びが鈍化したほか、衣料・靴が▲0.6%(前月:+0.9%)、ガソリン・エネルギー関連が▲1.3%(前月:+3.2%)と、前月からマイナスに転じた。
サービス消費は、住宅・公共料金が+0.1%(前月:▲1.0%)と前月からプラスに転じた一方、交通が▲0.1%(前月:+0.4%)、外食・宿泊が▲0.2%(前月:+1.7%)と、前月からマイナスに転じるなど、まちまちの結果となった。2月の住宅・公共料金は前月に大きく落込んだ後の戻りが弱く、暖冬による暖房消費の低迷によるとみられる。
5.価格指数:エネルギー関連が2ヵ月連続2桁の上昇
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経歴
- 【職歴】
1991年 日本生命保険相互会社入社
1999年 NLI International Inc.(米国)
2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
2014年10月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
(2017年04月03日「経済・金融フラッシュ」)
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