2017年03月28日

韓国における公的扶助制度の現状と課題(後編)-国民基礎生活保障制度の改革と概要、そして残された課題-

生活研究部 主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任   金 明中

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■要旨
 
  • 韓国政府は、増加する貧困層に対する経済的支援の拡大や勤労貧困層に対する自立を助長することを目的に、国民基礎生活保障制度の給付方式を「パッケージ給付」から「個別給付」に変更し、2015年7月1日から施行している。
     
  • 2015年の法改正では、(1)受給者の選定及び給付の支給基準を最低生活費から基準中位所得に変更、(2)パッケージ給付方式から給付ごとに対象者の選定基準及び最低保障水準を決定する個別給付に変更、(3)扶養義務者基準を緩和し、扶養義務者基準により福祉の死角地帯におかれていた人々に対する受給を拡大、(4)貧困対策に対する政府の義務強化、(5)所管中央行政機関の長による基礎生活保障基本計画の策定等の措置を行っている。
     
  • 国民基礎生活保障制度の導入や改正により生計給付の受給者数は増加したものの、相変わらず貧困の死角地帯が存在しており、助けを必要とする多くの生活困窮者が公的扶助制度の対象から除外されている。すでに実施している勤労奨励税制(EITC)を有効に活用しながら受給者の自立を促進する等貧困の死角地帯を解消する方法を慎重に模索すべきである。
     
  • 2015年の改正により教育給付の選定基準から扶養義務者基準がなくなり、他の給付では扶養義務者の扶養能力判断基準が以前より緩和された。しかしながら市民団体等は厳しい扶養義務者基準が福祉の死角地帯が解消できない最も大きな理由であると主張しながら扶養義務者基準の完全廃止を要求している。韓国においても日本や先進国の事例を参考に扶養義務者基準の見直しを検討するのが望ましい。

■目次

1――国民基礎生活保障制度の改革(2015年7月1日改正)
2――国民基礎生活保障制度の概要
  1|国民基礎生活保障制度の原則
  2|給付の種類
  3|減免制度
3――受給者の現状
4――残された課題
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生活研究部   主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター・ジェロントロジー推進室兼任

金 明中 (きむ みょんじゅん)

研究・専門分野
社会保障論、労働経済学、日・韓社会政策比較分析、韓国経済

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