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- 【東南アジア経済】ASEANの消費者物価(2月号)~石油関連の商品・サービスを中心に上昇
2017年02月23日
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シンガポールの17年1月のCPI上昇率は前年同月比0.5%増(前月:同0.2%増)と上昇した(図表5)。CPI上昇率は今年5月を底に緩やかに上昇するなか、1月は石油関連の商品・サービスを中心に上昇ペースが加速した。
主要品目別に見ると、輸送は同2.8%増(前月:同0.8%増)と、バス・鉄道料金の値下げ(12月末)があったものの、航空運賃とガソリン価格の値上げを受けて上昇した。また住宅・光熱費は同3.2%減(前月:同3.8%減)と、賃貸住宅市場が軟調で下落傾向こそ続いているものの、電気料金の値上げを受けてマイナス幅が縮小した。一方、食品は同1.9%増(前月:同2.0%増)と、未加工食品を中心に若干低下した。
自動車と住宅を除いたMAS(シンガポール金融管理局)のコアCPI上昇率は同1.5%増(前月:同1.2%増)と、依然として低水準ではあるものの、原油価格の上昇を背景とする電気料金や航空運賃などの値上げを受けて再び上向きつつある。
なお、MASは2017年のインフレ率が0.5%~1.5%と、ガソリン価格や政府の統制価格の値上げを背景に2016年の▲0.5%から緩やかに上昇すると予測している。

フィリピンの17年1月のCPI上昇率は前年同月比2.7%増(前月:同2.6%増)と上昇した(図表6)。CPI上昇率は昨年2月から食品価格や原油価格の上昇を受けて緩やかな上昇傾向が続いており、過去2年間で最も高い水準に達している。
主要品目別に見ると、輸送は同2.4%増(前月:同1.9%増)と、燃料や修理・メンテナンス費を中心に一段と上昇した。また、昨春から上昇傾向が続いている住宅・水・電気・ガス・燃料は同1.8%増(前月:同1.3%増)と、電気・ガス料金を中心に上昇した。一方、全体の4割を占める食品・飲料(酒類除く)は同3.4%増と、クリスマスシーズンの需要増が和らいで、前月の同3.6%増から小幅に低下した。
食品とエネルギーの一部を除いたコアCPI上昇率は、強い消費需要を背景に緩やかな上昇傾向にあるが、1月は同2.5%増と、前月(同2.5%増)から横ばいとなった。
2月9日に開かれた金融委員会では、中央銀行は先行きのインフレ見通しについて17-18年の物価目標(2-4%)の範囲内で推移するとし、政策金利を据え置いた。なお、原油高やペソ安がインフレ率を押し上げるとし、インフレ予想を17年が3.5%(前回:3.3%)、18年が3.1%(前回:3.0%)と、それぞれ上方修正した。

ベトナムの17年1月のCPI上昇率は前年同月比5.22%増となり、燃料価格の引き上げを受けて前月の同4.74%増から一段と上昇した(図表7)。CPI上昇率は昨年から上昇基調が続いており、年明け早々に17年の政府目標の4%を上回った。
主要品目別に見ると、まず輸送は同5.02%増(前月:同1.12%減)と、ガソリン価格の値上げを受けて大きく上昇してプラスに転じた。また住宅・建材も同3.54%増(前月:同3.26%増)と上昇した。一方、食品は同2.37%増(前月:同2.87%増)と、テト休暇前の需要増に備える政府の対応策が奏功して低下した。なお、保健・ヘルスケアはウェイトが全体の5%と大きくないものの、伸び率が同56.97%増と昨年からの段階的な医療費の引上げを受けて高止まりしており、また教育も同10.35%増と、新学年が始まった9月から二桁増が続いている。
食料品とエネルギー、政府の価格統制品目(医療・教育)を除いたコアCPI上昇率は同1.88%増(前月:同1.87%増)となり、昨年から概ね横ばい圏の推移が続いている。
(お願い)本誌記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と安全性を保証するものではありません。また、本誌は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。
(2017年02月23日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
斉藤 誠のレポート
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