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2017年02月14日
米国では、人々はどのように生命保険に加入しているのか(4)-リムラ&ライフハプンズの保険バロメータースタディより-米国の人々が好ましいと考える生命保険販売チャネルとは-
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米国LIMRA&Life Happensの“2016 Insurance Barometer Study”のデータを用いて、「米国の人々がどのように生命保険に加入しているのか」を紹介するレポートの第4回。今回は「米国の人々はどのような販売チャネルを好ましいと考えているのか」、つまり消費者がこれから生命保険に加入する(買い増しする)なら、どういう販売チャネルで加入したいと考えているのかという未来志向についてのレポートである。販売チャネルごとのこれまでの実績がどうであったかは見られていない。
なお本稿で「生命保険」という用語は、主に死亡保障・貯蓄を主目的とする狭義の生命保険商品のことを指し、単体で販売されている「医療保険」、「介護保険」、「個人年金」等を含まない。
なお本稿で「生命保険」という用語は、主に死亡保障・貯蓄を主目的とする狭義の生命保険商品のことを指し、単体で販売されている「医療保険」、「介護保険」、「個人年金」等を含まない。
1――最も好ましいと考える生命保険加入チャネル
次ページのグラフ1は、「生命保険加入チャネルとして最も好ましいと思う方法」についての調査結果である。生保既加入者だけでなく生保未加入者も回答を寄せている。
結果を見ると、「ファイナンシャルアドバイザーやエージェントを通じた対人販売(職域での購入を除く)、以下、『対人販売』」が51%と過半数の支持を集めて第1位である。
それからかなり離れて「オンライン上で申込を完結する方式、以下、『オンライン販売』」が21%で第2位となっている。
第3位は「職場を通じて加入する方式、以下、『職域販売』」の11%。
その後、「オフラインで申込書を完記してから保険会社/専門家にeメールで申込書を送る方式、以下、『メールを介する販売』」が6%、「申込書を完記してから保険会社/専門家に申込書を郵送する方式、以下、『郵便を通じた販売』」が同じく6%、「電話による方式、以下、『電話販売』」が5%と続いている。
結果を見ると、「ファイナンシャルアドバイザーやエージェントを通じた対人販売(職域での購入を除く)、以下、『対人販売』」が51%と過半数の支持を集めて第1位である。
それからかなり離れて「オンライン上で申込を完結する方式、以下、『オンライン販売』」が21%で第2位となっている。
第3位は「職場を通じて加入する方式、以下、『職域販売』」の11%。
その後、「オフラインで申込書を完記してから保険会社/専門家にeメールで申込書を送る方式、以下、『メールを介する販売』」が6%、「申込書を完記してから保険会社/専門家に申込書を郵送する方式、以下、『郵便を通じた販売』」が同じく6%、「電話による方式、以下、『電話販売』」が5%と続いている。
第1位の『対人販売』と第2位の『オンライン販売』は人が介在する程度で対局に位置するものである。この2つの間に残り4つが、人とのふれあいの程度と自己完結性の程度を違えながら位置する。
『メールを介する販売』のうち、申込書を作成して保険会社にメールで送る方式のもの、『電話販売』、『郵便を通じた販売』、『オンライン販売』が『ダイレクト』と呼ばれるタイプの販売形式である。
米国の生保市場では、伝統的に人とのふれあいがある『対人販売』が主力チャネルであり続けてきた。『職域販売』も団体生命保険を中心とする伝統的なチャネルである。近年はその間に、人とのふれあいを排除した『オンライン販売』が割り込み、少しずつ勢力を伸ばしてきている。『メールを介する販売』、『電話販売』、『郵便を通じた販売』といった中間的なチャネルは支持者が多いわけではないが、それなりに一部からの支持を受けている。
本レポートでは以降、『対人販売』と『オンライン販売』に焦点を絞って見ていきたいので、ここで軽く、その他の販売チャネルに対する支持理由をバロメータースタディから紹介しておこう。
まず『職域販売』。これには、認められた時間帯に保険エージェントが職場を来訪して個人生命保険を販売するというパターンも含まれるが、大部分は勤務先が生命保険会社と締結している団体生命保険に加入を申し込む方式のものである。したがって、この方式を好む人のほとんどは団体生命保険に加入することを前提としている。『職域販売』の支持理由上位3つは、「保険料の給与引き去りが便利だから(メジャーな理由として56%+マイナーな理由として 32%=合計 88%)」、「職場で購入できるのが便利だから(メジャーな理由として52%+マイナーな理由 として39%=合計 91%)」、「この方式に、より多くの快適さと信頼性を感じるから(メジャーな理由として47%+マイナーな理由として 38%=合計 85%)」となっており、利便性が支持されている。
次に『メールを介する販売』または『郵便を通じた販売』について。この両者はあわせて支持理由が調査されている。上位3つの支持理由は、「便利だから/自分の好きな時間と場所でできるから(メジャーな理由として62%+マイナーな理由として 29%=合計 91%)」、「この方式に、より多くの快適さと信頼性を感じるから(メジャーな理由として45%+マイナーな理由として 41%=合計 86%)」、「買わなければならないとのプレッシャーを感じることが少ないから(メジャーな理由として42%+マイナーな理由として 41%=合計 83%)」である。自分の時間とペースでできるという点が最も消費者に訴求している。また販売プレッシャーを感じることが少ないとの理由も見られる。
『電話販売』については、「便利だから(メジャーな理由として67%+マイナーな理由として 23%=合計 90%)」、「この方式により多くの快適さと信頼性を感じるから(メジャーな理由として60%+マイナーな理由として 25%=合計 85%)」、「一定のパーソナルな双方向のやりとりがあるから(メジャーな理由として58%+マイナーな理由として 25%=合計 83%)」との支持理由が寄せられている。やはり便利さが決め手となっているが、その一方で人とのやりとりという対人販売的な側面が好まれている様子もかいま見えている。
『メールを介する販売』のうち、申込書を作成して保険会社にメールで送る方式のもの、『電話販売』、『郵便を通じた販売』、『オンライン販売』が『ダイレクト』と呼ばれるタイプの販売形式である。
米国の生保市場では、伝統的に人とのふれあいがある『対人販売』が主力チャネルであり続けてきた。『職域販売』も団体生命保険を中心とする伝統的なチャネルである。近年はその間に、人とのふれあいを排除した『オンライン販売』が割り込み、少しずつ勢力を伸ばしてきている。『メールを介する販売』、『電話販売』、『郵便を通じた販売』といった中間的なチャネルは支持者が多いわけではないが、それなりに一部からの支持を受けている。
本レポートでは以降、『対人販売』と『オンライン販売』に焦点を絞って見ていきたいので、ここで軽く、その他の販売チャネルに対する支持理由をバロメータースタディから紹介しておこう。
まず『職域販売』。これには、認められた時間帯に保険エージェントが職場を来訪して個人生命保険を販売するというパターンも含まれるが、大部分は勤務先が生命保険会社と締結している団体生命保険に加入を申し込む方式のものである。したがって、この方式を好む人のほとんどは団体生命保険に加入することを前提としている。『職域販売』の支持理由上位3つは、「保険料の給与引き去りが便利だから(メジャーな理由として56%+マイナーな理由として 32%=合計 88%)」、「職場で購入できるのが便利だから(メジャーな理由として52%+マイナーな理由 として39%=合計 91%)」、「この方式に、より多くの快適さと信頼性を感じるから(メジャーな理由として47%+マイナーな理由として 38%=合計 85%)」となっており、利便性が支持されている。
次に『メールを介する販売』または『郵便を通じた販売』について。この両者はあわせて支持理由が調査されている。上位3つの支持理由は、「便利だから/自分の好きな時間と場所でできるから(メジャーな理由として62%+マイナーな理由として 29%=合計 91%)」、「この方式に、より多くの快適さと信頼性を感じるから(メジャーな理由として45%+マイナーな理由として 41%=合計 86%)」、「買わなければならないとのプレッシャーを感じることが少ないから(メジャーな理由として42%+マイナーな理由として 41%=合計 83%)」である。自分の時間とペースでできるという点が最も消費者に訴求している。また販売プレッシャーを感じることが少ないとの理由も見られる。
『電話販売』については、「便利だから(メジャーな理由として67%+マイナーな理由として 23%=合計 90%)」、「この方式により多くの快適さと信頼性を感じるから(メジャーな理由として60%+マイナーな理由として 25%=合計 85%)」、「一定のパーソナルな双方向のやりとりがあるから(メジャーな理由として58%+マイナーな理由として 25%=合計 83%)」との支持理由が寄せられている。やはり便利さが決め手となっているが、その一方で人とのやりとりという対人販売的な側面が好まれている様子もかいま見えている。
2――『対人販売』と『オンライン販売』
2|『オンライン販売』の支持理由
『オンライン販売』への支持理由としては、自身の時間とペースでできる便利さ、商品研究や商品比較ができる環境、販売プレッシャーがないことといったものが上位に並んでいる。
しかしリムラ&ライフハプンズは、オンラインが情報と便宜を提供すべきものにかかわらず、「この方式に、より多くの快適さと信頼性を感じるから」をメジャーな支持理由とする回答者が45%に留まっていることを問題視し、「保険会社は、人々がオンラインに期待する簡便さと、彼らを快適にするサポートのバランスをとる方法を見つける必要がある。実際、大部分の人々は、サポートを期待できる誰かがいることは、インターネット上での購入を進める上での励ましになると言う。」としている。
『オンライン販売』への支持理由としては、自身の時間とペースでできる便利さ、商品研究や商品比較ができる環境、販売プレッシャーがないことといったものが上位に並んでいる。
しかしリムラ&ライフハプンズは、オンラインが情報と便宜を提供すべきものにかかわらず、「この方式に、より多くの快適さと信頼性を感じるから」をメジャーな支持理由とする回答者が45%に留まっていることを問題視し、「保険会社は、人々がオンラインに期待する簡便さと、彼らを快適にするサポートのバランスをとる方法を見つける必要がある。実際、大部分の人々は、サポートを期待できる誰かがいることは、インターネット上での購入を進める上での励ましになると言う。」としている。
(2017年02月14日「保険・年金フォーカス」)
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