2017年02月06日

Jリート市場は年間6%上昇。物件取得額は過去3番目の高水準-不動産クォータリー・レビュー2016年第4四半期

金融研究部 不動産調査室長 岩佐 浩人

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(3)商業施設・ホテル・物流施設
商業動態統計などによると、2016年10-12月の小売販売額(既存店、前年比)は百貨店が▲2.8%、スーパーが+0.2%、コンビニエンスストアが+0.4%、2016年全体(既存店)では百貨店が▲2.9%、スーパーが+0.1%、コンビニエンスストアが+0.5%となった(図表-14)。衣料品の販売不振やインバウンド消費の一巡で百貨店がマイナスとなる一方、スーパー、コンビニはプラスを維持している。
図表-14 百貨店・スーパー・コンビニエンスストアの月次販売額(既存店、前年比)
全国61都市のホテル客室稼働率(2016年12月)は前年同月比0.3%上昇の77.1%となった。2016年は年間を通じて高稼動を維持したものの、前年を下回る月も度々出現した(図表-15)。2016年の訪日外国人客数は前年比22%増加の約2,403万人となり4年連続で過去最高を更新した(図表-16)。クルーズ船寄港数の増加や訪日プロモーション効果、ビザ緩和などを背景に、主要20市場のうちロシアを除く19市場で過去最高を記録した。一方、外国人の延べ宿泊者数や旅行消費額は訪日客数の増加率と比べて伸び悩んだ。2016年の外国人の延べ宿泊者数は前年比8.5%増加(図表-17)、旅行消費額は前年比8%増加の約3.7兆円、1人当たり支出は▲11%減少の約15.6万円で中国の減少(前年比▲18%)が目立つ結果となった。今後のホテル市場については、円安や景気回復に伴う日本人を含めた宿泊者数の動向、民泊に関する法整備、ホテルの新規開発の影響などが注目される。
図表-15 ホテル客室稼働率の暦年月次ベース(全国)
図表-16 訪日外国人客数(年間)/図表-17 延べ宿泊者数の推移(月次、前年比)
シービーアールイー(CBRE)によると、首都圏の大型マルチテナント型物流施設の空室率(2016年第4四半期)は前期比▲2.3%低下の6.8%、近畿圏は前期比4.5%上昇の11.4%となった(図表-18)。大規模な先進的物流施設への需要は旺盛だが、新規供給の集中するエリアではテナントの選択肢が広がることから、首都圏では圏央道エリアで、近畿圏では湾岸部で空室率が高止まりする見込みである。また、一五不動産情報サービスによると、2016年10月の東京圏の募集賃料は前期比3.5%上昇の4,140円/坪となった3
図表-18 大型マルチテナント型物流施設の空室率
 
3 J-REITが所有する先進物流施設では、引き続き賃料が上昇している。GLP投資法人(2016年8月期)の増額改定(全体の78%)における上昇率はプラス10.3%、日本プロロジスリート投資法人(2016年11月期)の改定賃料変動率はプラス2.0%である。
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金融研究部   不動産調査室長

岩佐 浩人 (いわさ ひろと)

研究・専門分野
不動産市場・投資分析

経歴
  • 【職歴】
     1993年 日本生命保険相互会社入社
     2005年 ニッセイ基礎研究所
     2019年4月より現職

    【加入団体等】
     ・一般社団法人不動産証券化協会認定マスター
     ・日本証券アナリスト協会検定会員

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