2017年02月06日

Jリート市場は年間6%上昇。物件取得額は過去3番目の高水準-不動産クォータリー・レビュー2016年第4四半期

金融研究部 不動産調査室長 岩佐 浩人

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2.地価動向

不動産投資市場への緩和マネーの流入や都市部における再開発事業の進展などから地価の上昇が続くが、これまで先行して上昇してきた東京圏では一部に鈍化の気配も見られる。国土交通省の「地価LOOKレポート(平成28年第3四半期)」によると、東京圏(43地区)は上昇が「39」から「33」へ減少し横ばいが増加した。一方、大阪圏(25地区)は上昇が「24」、名古屋圏(9地区)は全て上昇、地方圏(23地区)は上昇が「16」で上昇数は前回から変わらず、下落は9期連続でゼロとなった(図表-7)。

野村不動産アーバンネットによると、首都圏住宅地価格の変動率(2017年1月1日時点)は前期比0.3%上昇し2013年7月以降連続してプラスを維持している。年間の変動率は首都圏全体で1.2%上昇し、東京都区部(年間+2.1%)を筆頭に全エリアで上昇した(図表-8)。
図表-7 全国の地価上昇・下落地区の推移/図表-8 首都圏の住宅地価(変動率、前期比)

3.不動産サブセクターの動向

3.不動産サブセクターの動向

(1)オフィス
三鬼商事によると12月の都心5区空室率は前月比0.14%低下の3.61%、平均募集賃料は前年比4.8%上昇した。東京のオフィス市場は空室率が低位で推移するなか、年率4~5%の緩やかな賃料上昇が継続している。また、他の主要都市ではオフィスの新規供給が限定的であるため東京を上回るペースで空室率の改善が進む(図表-9)。

三幸エステート公表の「オフィスレント・インデックス」によると、2016年第4四半期の東京都心部Aクラスビル賃料はほぼ横ばいの33,785円(前期比+0.2%)となった(図表-10)。Aクラスビル賃料は2015年第3四半期をピークに賃料の天井感が強まっており、高額物件ではテナント誘致に時間のかかるケースが増えている。森ビルの「東京23区オフィスニーズに関する調査」によると、移転理由として「業容・人員拡大(35%)」や「1フロア面積が大きいビル(28%)」が上位となるなか、2011年以降一貫して低下してきた「賃料の安いビル(23%)」に対するニーズが増えて順位を上げている(図表-11)。
図表-9 主要都市のオフィス空室率/図表-10 東京都心部Aクラスビルの空室率と成約賃料/図表-11 新規賃貸する理由(主要項目)
(2)賃貸マンション
東京23区のマンション賃料は緩やかな上昇が続いている。2016年第3四半期は前期比で小幅に下落したが、前年比ではシングルタイプが+2.1%、コンパクトタイプが+0.3%、ファミリータイプが+0.5%となった。(図表-12)。また、東京の高級賃貸マンションについても空室率の低下に伴い賃料が上昇し、12月は前年比2.3%上昇の16,346円/月坪となった(図表-13)。
図表-12 東京23区のマンション賃料/図表-13 高級賃貸マンションの賃料と空室率
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金融研究部   不動産調査室長

岩佐 浩人 (いわさ ひろと)

研究・専門分野
不動産市場・投資分析

経歴
  • 【職歴】
     1993年 日本生命保険相互会社入社
     2005年 ニッセイ基礎研究所
     2019年4月より現職

    【加入団体等】
     ・一般社団法人不動産証券化協会認定マスター
     ・日本証券アナリスト協会検定会員

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