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- 【10-12月期米GDP】前期比年率+1.9%、純輸出の特殊要因が剥落し、前期から大幅低下。
2017年01月30日
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1.結果の概要:成長率は、前期から大幅低下、市場予想も下回る
10-12月期の成長率を需要項目別にみると、住宅投資が前期比年率+10.2%(前期:▲4.1%)と3期ぶりにプラスに転じたほか、民間設備投資+2.4%(前期:+1.4%)や、政府支出+1.2%(前期:+0.8%)は前期から伸びが加速した(図表2)。また、在庫投資の成長率寄与度も+1.00%ポイント(前期:同+0.49%ポイント)とプラス幅が拡大した。個人消費は、前期年率+2.5%(前期:+3.0%)と前期からは鈍化したものの、底堅い伸びを維持した。一方、純輸出(輸出-輸入)の成長率期寄与度が▲1.70%ポイント(前期:+0.85%ポイント)と、特殊要因で大幅なプラスとなった前期の反動で、10年4-6月期(同▲1.77%ポイント)以来の大幅な落ち込みとなり、成長を押下げた。
前期は、在庫投資や純輸出の特殊要因も含めた成長押上げで実力以上に高い成長率となっていたため、当期の成長率低下は想定されていた。今回、成長率は市場予想を上回る低下となったものの、純輸出による成長押下げの影響が大きく、GDPから在庫と純輸出を除いた国内最終需要は、前期比年率+2.5%(前期:+2.1%)と堅調な伸びを維持している。このため、内需主導の景気回復は持続していると判断でき、成長率低下を悲観視する必要はないだろう。一方、17年の米国経済はトランプ政権の経済政策に大きく左右されることから、今後の国内政治状況には注意が必要だ。
1 以降、本稿では特に断りの無い限り季節調整済の実質値を指すこととする。
前期は、在庫投資や純輸出の特殊要因も含めた成長押上げで実力以上に高い成長率となっていたため、当期の成長率低下は想定されていた。今回、成長率は市場予想を上回る低下となったものの、純輸出による成長押下げの影響が大きく、GDPから在庫と純輸出を除いた国内最終需要は、前期比年率+2.5%(前期:+2.1%)と堅調な伸びを維持している。このため、内需主導の景気回復は持続していると判断でき、成長率低下を悲観視する必要はないだろう。一方、17年の米国経済はトランプ政権の経済政策に大きく左右されることから、今後の国内政治状況には注意が必要だ。
1 以降、本稿では特に断りの無い限り季節調整済の実質値を指すこととする。
2.結果の詳細:
(個人消費・個人所得)財消費は好調も、サービス消費が鈍化の要因
10-12月期の個人消費のうち、財消費は前期比年率+5.2%(前期:+3.5%)と、前期から伸びが加速した(図表3)。非耐久財が+2.3%(前期:▲0.5%)と前期からプラスに転じたほか、耐久消費財が+10.9%(前期:+11.6%)と2期連続で2桁の増加となるなど、財消費を牽引した。非耐久財では、ガソリン・エネルギーが▲9.3%(前期:▲2.4%)と前期からマイナス幅が拡大したものの、食料・飲料が+5.9%(前期:+2.5%)となるなど好調であった。耐久消費財では、自動車・自動車部品が+11.8%(前期:+19.9%)と前期から鈍化したものの、2桁の好調な伸びを維持した。
一方、サービス消費は+1.3%(前期:+2.7%)と前期から伸びが鈍化し、個人消費の伸び鈍化の要因となった。医療サービスは+1.6%(前期:+0.6%)と前期から伸びが加速したものの、住宅・公益が▲2.0%(前期:+2.6%)と前期から減少したことなどが響いた。
所得は、実質可処分所得が前期比年率+1.5%(前期:+2.6%)と前期から大幅に伸びが鈍化した(図表4)。この結果、貯蓄率は5.6%(前期:5.8%)と前期から低下した。
10-12月期の個人消費のうち、財消費は前期比年率+5.2%(前期:+3.5%)と、前期から伸びが加速した(図表3)。非耐久財が+2.3%(前期:▲0.5%)と前期からプラスに転じたほか、耐久消費財が+10.9%(前期:+11.6%)と2期連続で2桁の増加となるなど、財消費を牽引した。非耐久財では、ガソリン・エネルギーが▲9.3%(前期:▲2.4%)と前期からマイナス幅が拡大したものの、食料・飲料が+5.9%(前期:+2.5%)となるなど好調であった。耐久消費財では、自動車・自動車部品が+11.8%(前期:+19.9%)と前期から鈍化したものの、2桁の好調な伸びを維持した。
一方、サービス消費は+1.3%(前期:+2.7%)と前期から伸びが鈍化し、個人消費の伸び鈍化の要因となった。医療サービスは+1.6%(前期:+0.6%)と前期から伸びが加速したものの、住宅・公益が▲2.0%(前期:+2.6%)と前期から減少したことなどが響いた。
所得は、実質可処分所得が前期比年率+1.5%(前期:+2.6%)と前期から大幅に伸びが鈍化した(図表4)。この結果、貯蓄率は5.6%(前期:5.8%)と前期から低下した。
(2017年01月30日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
1991年 日本生命保険相互会社入社
1999年 NLI International Inc.(米国)
2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
2014年10月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
窪谷 浩のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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