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- 景気ウォッチャー調査(16年12月)~回復基調は継続、先行きはトランプ次期政権の動向が不安材料
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1.景気の現状判断DI(季節調整値):前月から横ばい、回復基調は継続
今回の調査では、米大統領選挙後の円安・株高による資産効果に加え、ボーナス・年末年始商戦などがマインドの下支えとなった模様である。家計動向関連では、円安の影響もありインバウンド消費が好調であったことが百貨店の景況感を大きく押し上げた。一方、一部の業種では生鮮食品価格の高止まりから買い控えを懸念する報告が寄せられたほか、気温が低めに推移した前月から一転して暖冬となったため冬物商材が低調となったようだ。企業部門においては、円安・株高基調の継続でマインドが好転していることに加え、内外需要の回復を背景に生産や輸出が持ち直していることもプラスに働いたようだ。
コメントをみると、引き続き人手不足関連が改善要因となるなか、円安・株高を好感するコメントが前回調査から増加している(最終頁の図参照)。消費の下押し要因となっている生鮮食品の価格高騰への懸念も幾分和らいでいる。
2.円安・株高、ボーナス・年末年始商戦が下支え

住宅関連では、「これまで好調であった、都心部のタワーマンションの集客状況が落ち着いてきている。郊外に至っては集客が激減しているなど、新築マンションの販売は非常に厳しい」(近畿・住宅販売会社)や「マンション、戸建住宅共に、低金利と円安に支えられ、まずまずの売れ行きであるが、好調というほどではない」(東海・建設業)とのコメントのように、都市部を中心に住宅市況に陰りもみられる。
企業動向関連は、製造業(前月差+1.5ポイント)、非製造業(同+1.7ポイント)ともに前月から改善した。コメントをみると、製造業では「円安で販売量が増加している」(東海・電気機械器具製造業)など円安を好感するコメントのほか、「特殊な製品を中心として、国内、海外向け共に、活発に動いている」(近畿・金属製品製造業)といったように、内外需要の回復を示唆するコメントも多数寄せられた。非製造業では、「年末にかけて、荷主メーカーの出荷量がやっと増え始めてきている。年始にかけてやや増加の見込みである」(南関東・輸送業)など、年末年始の需要増が押し上げ要因となったとみられる。
雇用関連では、「従業員増員の求人が少しずつ増えている。人手が足りないので、派遣会社に頼んだというケースは引続き多い。お歳暮時期の仕事も、例年より時間外勤務の多い事業所があった」(九州・人材派遣会社)といったように、求人数は派遣を中心に増加傾向にあるなか、「求人数は引き続き増加傾向である。雇用形態も正社員募集が多い」(南関東・人材派遣会社)とのコメントのように、正社員の人材需要が高まっている様子も窺える。
(2017年01月13日「経済・金融フラッシュ」)
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