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中国経済見通し~デレバレッジ 、住宅バブル崩壊 、トランプ・リスク と不安材料は盛り沢山だが、6.5%前後の経済成長を維持すると予想

三尾 幸吉郎
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1.経済成長とインフレ

2.需要面の動き
しかし、2017年以降はこれまでの伸びを下回りそうである。ひとつのマイナス材料が所得の伸び鈍化である。昨年までの3年間は、価格要因を除いた実質ベースでの所得の伸びが経済成長率(実質)を上回る伸びを示したため、消費が中国経済を牽引することとなった。しかし、2016年に入り1-9月期の全国住民一人あたり可処分所得(実質)は、統計が公表され始めた2013年以降では初めて経済成長率(実質)を下回り、その追い風は弱まってきた(図表-7)。付加価値の伸びを超える賃金上昇を続ければインフレを招きかねないことから、今後は経済成長率を超えるような高い伸びは期待できない。もうひとつのマイナス材料がインフレ率の上昇である。前述のとおり2016年1-9月期の小売売上高は、実質ベースでは名目で見た以上に伸びが鈍化している。2017年以降も、原油価格などの緩やかな上昇を背景に、インフレ率は上昇傾向を辿ると見ていることから、実質ベースで見た所得の伸びは名目ベースで見た以上に鈍化する傾向が続くことになりそうだ。
1 中国では、統計方法の改定時に新基準で計測した過去の数値を公表しない場合が多く、また1月からの年度累計で公表される統計も多い。本稿では、四半期毎の伸びを見るためなどの目的で、ニッセイ基礎研究所で中国国家統計局などが公表したデータを元に推定した数値を掲載している。またその場合には“(推定)”と付して公表された数値と区別している。
2 中国政府は過剰生産能力削減を下期に加速する方針を示したことから失業増が懸念される。一方、その方針を示すまでの経緯を見ると、4月に再就職プランを配布するなど人員再配置・再就職に万全を期して準備を進めてきた。従って、今回の過剰生産能力削減加速を直接の原因として雇用不安に陥る可能性は低いと見ている。但し、民間投資の急減速などその他の要因で雇用不安に陥る恐れは残る。
(2016年11月25日「Weekly エコノミスト・レター」)
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