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- 中国経済:過剰債務問題の本質と展望
2016年09月23日
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■要旨
1―巨大化した中国非金融企業の債務
中国の過剰債務が世界経済を揺るがすのではないかとの懸念が高まっている。特に2008年のリーマンショック後には非金融企業向けの債務残高が急増した。それを国際的に見るとG20平均(70.3%)を100.5ポイントも上回っており、世界でも突出して大きい。
2――巨大化した債務が調整する局面とは?
巨大化した債務がどの水準でピークアウトするかは、負債サイドだけを見ていたのでは判断しづらく資産サイドも合わせて見る必要がある。現在の中国に類似した経済環境だった4ヵ国(アジア通貨危機時の韓国・タイ・マレーシア、高度成長期後半の日本)の経緯を見ると、一時的にマイナス成長に陥った後、経済成長率は調整前の半分前後に減速した。
3―中国の場合と中国政府の対応
中国の場合を見ると、従来の成長モデルが限界を迎えるとともに過剰生産能力の問題が明らかとなり、負債サイドでは過剰債務問題、資産サイドでは過剰投資問題を抱えることとなった。雇用不安を恐れる中国政府は、新しい成長モデルによる雇用創出状況を見ながら構造改革を進めると見られるため、成功のカギは新たな成長モデルが握っている。
4―今後の展望
以上の分析を元に今後の中国経済を展望すると、過剰投資・過剰債務問題を調整した後の経済成長率は調整前の半分程度(5%前後)に減速する可能性が高い。厳しい情報統制が中国国民のイノベーションの障害になるようだと更に低下する恐れもある。但し、中国では対外債務が少ない点などを勘案するとマイナス成長に陥るのは阻止できると見ている。
1―巨大化した中国非金融企業の債務
中国の過剰債務が世界経済を揺るがすのではないかとの懸念が高まっている。特に2008年のリーマンショック後には非金融企業向けの債務残高が急増した。それを国際的に見るとG20平均(70.3%)を100.5ポイントも上回っており、世界でも突出して大きい。
2――巨大化した債務が調整する局面とは?
巨大化した債務がどの水準でピークアウトするかは、負債サイドだけを見ていたのでは判断しづらく資産サイドも合わせて見る必要がある。現在の中国に類似した経済環境だった4ヵ国(アジア通貨危機時の韓国・タイ・マレーシア、高度成長期後半の日本)の経緯を見ると、一時的にマイナス成長に陥った後、経済成長率は調整前の半分前後に減速した。
3―中国の場合と中国政府の対応
中国の場合を見ると、従来の成長モデルが限界を迎えるとともに過剰生産能力の問題が明らかとなり、負債サイドでは過剰債務問題、資産サイドでは過剰投資問題を抱えることとなった。雇用不安を恐れる中国政府は、新しい成長モデルによる雇用創出状況を見ながら構造改革を進めると見られるため、成功のカギは新たな成長モデルが握っている。
4―今後の展望
以上の分析を元に今後の中国経済を展望すると、過剰投資・過剰債務問題を調整した後の経済成長率は調整前の半分程度(5%前後)に減速する可能性が高い。厳しい情報統制が中国国民のイノベーションの障害になるようだと更に低下する恐れもある。但し、中国では対外債務が少ない点などを勘案するとマイナス成長に陥るのは阻止できると見ている。
(2016年09月23日「基礎研レポート」)
三尾 幸吉郎
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