- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 経済予測・経済見通し >
- 中国経済見通し~上期は持ち直しも下期には再減速へ、景気対策なしでは失速しかねない状況
中国経済見通し~上期は持ち直しも下期には再減速へ、景気対策なしでは失速しかねない状況

三尾 幸吉郎
このレポートの関連カテゴリ
文字サイズ
- 小
- 中
- 大
- 2016年上期(1-6月期)の中国経済を振り返ると、1-3月期には景気が下振れしたものの、4-6月期には持ち直した。実質成長率は1-3月期には前期比1.2%増(改定後)と年率換算すれば4.9%前後に低下したが、4-6月期には同1.8%増(年率換算7.4%前後)へ回復、成長率目標(6.5-7%)を上回る伸びを示し、景気の持ち直しを確認することとなった(下左図)。
- 2016年上期の消費は比較的高い伸びを維持した。今後を考えると、雇用指標に大きな落ち込みは見られず、中間所得層の充実というトレンドが引き続き追い風となることから比較的高い伸びを維持できるだろう。但し、景気減速で賃金上昇率が鈍化したのに加えて、インフレ率の上昇で実質所得が目減りすることから、消費の伸びは若干鈍化すると見ている。
- 2016年上期の投資は引き続き減速した。インフラ関連投資は加速したものの製造業が足かせとなった。今後を考えると、過剰設備・過剰債務の整理が進む中で、民間企業(特に製造業)の投資は落ち込んでおり減速傾向が続くと見られる。但し、成長率目標の下限(6.5%)の達成が危ぶまれる状況となれば長期計画を前倒し執行するなど景気対策に踏み切る可能性が高い。
- 一方、中国人民銀行は貸出・預金基準金利の引き下げを見送った。景気は下振れしたものの、消費者物価が上昇率を高め、住宅バブル懸念が高まったことが見送りの背景と見られる。また、中国人民銀行の盛調査統計局長は「流動性の罠」の可能性を指摘した。民間企業の投資意欲を回復させるには、金融政策だけでは手詰まり感があることを示唆したものと見られる。
- 経済見通しとしては、2016年の実質成長率は前年比6.6%増、2017年は同6.4%増と「緩やかな減速」が続くと予想する。また、消費者物価は緩やかな上昇を予想している(下右表)。但し、民間投資が低迷を続ける中で、中国政府が景気対策を打ち出さず、国有・持ち株企業の投資が息切れすることになれば、実質成長率が6%を割り込む可能性も否定しきれない。
(2016年08月24日「Weekly エコノミスト・レター」)
このレポートの関連カテゴリ
三尾 幸吉郎
三尾 幸吉郎のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
---|---|---|---|
2024/12/16 | 図表でみる世界のGDP-日本が置かれている現状と世界のトレンド | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レター |
2024/07/30 | 図表でみる世界の人口ピラミッド | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レター |
2024/04/05 | 不動産バブルの日中比較と中国経済の展望 | 三尾 幸吉郎 | 基礎研マンスリー |
2024/03/11 | Comparison of Real Estate Bubbles in China and Japan, and Prospects for the Chinese Economy | 三尾 幸吉郎 | 基礎研レポート |
新着記事
-
2025年03月25日
米国で広がる“出社義務化”の動きと日本企業の針路~人的資本経営の視点から~ -
2025年03月25日
産業クラスターを通じた脱炭素化-クラスターは温室効果ガス排出削減の潜在力を有している -
2025年03月25日
「大阪オフィス市場」の現況と見通し(2025年) -
2025年03月25日
ヘルスケアサービスのエビデンスに基づく「指針」公表 -
2025年03月25日
日本郵便による非公開金融情報流用事案-保険業法および個人情報保護法の規制
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年11月27日
News Release
-
2024年07月01日
News Release
-
2024年04月02日
News Release
【中国経済見通し~上期は持ち直しも下期には再減速へ、景気対策なしでは失速しかねない状況】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
中国経済見通し~上期は持ち直しも下期には再減速へ、景気対策なしでは失速しかねない状況のレポート Topへ