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- 最近の人民元と今後の展開(2016年8月号)~元安小休止
2016年08月02日
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- 7月の人民元相場(対米ドル)は基準値・市場実勢ともに前月末とほぼ同水準で取引を終えた。初旬から中旬にかけては人民元がじりじり下落し元安容認との見方が強まった。しかし、23-24日のG20財務相・中央銀行総裁会議後には風向きが変化、人民元は上昇に転じた。
- 今後の人民元(市場実勢)は、引き続き16年末にかけてじわじわと下落する展開を予想している(想定レンジは1米ドル=6.5~6.8元と広めを維持)。但し、9月4-5日には中国でG20首脳会議が開催される。議長国の中国としては人民元下落を話題にしたくないところだ。G20首脳会議を直前に控えた8月は、人民元の下落トレンドが一旦小休止となりやすい。
[ 7月の動き ]
7月の人民元相場(対米ドル)は基準値・市場実勢ともに前月末とほぼ同水準で取引を終えた。初旬から中旬にかけては人民元がじりじりと下落する展開となり、中国は元安を容認しているとの見方が強まった。しかし、7月23-24日に中国の四川省成都市で開催されたG20財務相・中央銀行総裁会議の後には風向きが変化した。7月26日以降4営業日連続で基準値を引き上げ、市場実勢もこれに追随して上昇することとなった(図表-1)。
なお、市場実勢(スポット・オファー、中国外貨取引センター)の当月高値は1米ドル=6.6400元(7/29)、当月安値は同6.7077元(7/18)で、前月末比0.2%の元高・ドル安だった。一方、基準値の当月高値は1米ドル=6.6472元(7/4)、当月安値は同6.6971元(7/19)で、前月末比0.3%の元安・ドル高だった。また、日本円に対しては、日本円が米ドル対して前月末とほぼ同水準で取引を終えたため、前月末比0.1%元安・円高の100日本円=6.4668元(1元=15.5円)となった(図表-2)。
なお、市場実勢(スポット・オファー、中国外貨取引センター)の当月高値は1米ドル=6.6400元(7/29)、当月安値は同6.7077元(7/18)で、前月末比0.2%の元高・ドル安だった。一方、基準値の当月高値は1米ドル=6.6472元(7/4)、当月安値は同6.6971元(7/19)で、前月末比0.3%の元安・ドル高だった。また、日本円に対しては、日本円が米ドル対して前月末とほぼ同水準で取引を終えたため、前月末比0.1%元安・円高の100日本円=6.4668元(1元=15.5円)となった(図表-2)。
一方、世界通貨の動きを見ると、主要通貨ではユーロが米ドルに対して前月末比0.7%上昇、6月に急伸した日本円は前月末とほぼ同水準で取引を終えた。また、新興国通貨はまちまちの動きとなった。韓国(ウォン)やタイ(バツ)などは続伸したが、原油価格の下落を受けてロシア(ルーブル)やブラジル(レアル)は反落した(図表-3)。
また、今年2月以降、中国人民銀行はバスケット構成通貨に対する安定を重視したコントロールを実施、構成通貨の中で米国に次いでシェアが大きい欧州のユーロに対する連動性を強めている。6月から7月中旬にかけては、ユーロ下落時には連動率が大きく、ユーロ上昇時には連動率が小さくなるケースが目立ち、元安容認との見方が強まった。しかし、前述のとおりG20財務相・中央銀行総裁会議の後には風向きが変化、その後の人民元は堅調に推移している(図表-4)。
また、今年2月以降、中国人民銀行はバスケット構成通貨に対する安定を重視したコントロールを実施、構成通貨の中で米国に次いでシェアが大きい欧州のユーロに対する連動性を強めている。6月から7月中旬にかけては、ユーロ下落時には連動率が大きく、ユーロ上昇時には連動率が小さくなるケースが目立ち、元安容認との見方が強まった。しかし、前述のとおりG20財務相・中央銀行総裁会議の後には風向きが変化、その後の人民元は堅調に推移している(図表-4)。
[ 今後の展開 ]

米国では、景気回復の動きが持続しており、英国民がEU離脱を選択したことに伴う金融市場の混乱も落ち着きを取り戻しつつあることから、16年内に追加利上げがあると想定している。一方、中国では、民間投資の伸びが落ち込んでおり、成長率目標の下限(6.5%)をクリアできるか微妙な状況にある(図表-5)。また、CPI上昇率もピークアウトしたことから、利下げに踏み切ってもおかしくない。従って、米中金利差は縮小に向かう可能性が高く、16年末にかけての人民元は下落トレンドと見ている。
但し、9月4-5日には中国の浙江省杭州市でG20首脳会議が開催される。議長国の中国としては人民元下落を話題にしたくないところだ。G20首脳会議を直前に控えた8月は、人民元の下落トレンドが一旦小休止となりやすい。
(2016年08月02日「経済・金融フラッシュ」)
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