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- 【東南アジア経済】ASEANの消費者物価(10月号)~原油安による物価下押し圧力が弱まり上昇
2016年10月24日
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主要品目別に見ると、食材が同6.20%増(前月:同5.14%増)、住宅・電気・ガス・燃料が同1.64%増(前月:同1.55%増)と、それぞれ上昇した。また運輸・通信・金融は同1.25%減(前月:同1.93%減)とマイナス幅が縮小した。一方、衣類が同3.98%増(前月:4.71%増)と低下した。加工食品・飲料・タバコが同5.83%増(前月:同5.88%増)と、概ね横ばいの推移となった。
食料品とエネルギーを除いたコアCPI上昇率は同3.21%増(前月:同3.32%増)と、年明け以降は安定して推移している。
10月19~20日に開かれた中央銀行の金融政策会合では、足元の景気の伸び悩みやインフレ圧力の後退、さらには経常収支の改善やルピア相場の安定などを背景に政策金利を2ヵ月連続で0.25%引き下げて4.75%とした。なお、中央銀行はインフレ率が年末まで目標(3-5%)の下限近くで推移すると予想している。

主要品目別に見ると、原油価格下落の一巡により、運輸・通信が同0.57%減(前月:同1.44%減)と上昇したほか、住宅・家具も同1.16%減(前月:1.32%減)と上昇した。またタバコ・酒類は同13.00%増と2月のタバコの物品税引き上げを受けて二桁増が続いている。一方、食品・飲料は同1.47%増(前月:同1.88%増)と干ばつの影響が和らいで低下した。
なお、9月のコアCPI上昇率(生鮮食品とエネルギー除く)は同0.75%増(前月:同0.79%増)と2ヵ月ぶりに小幅に低下し、概ね1%を下回る水準で安定している。
CPI上昇率は依然としてタイ銀行(中央銀行)のインフレ目標の範囲内(1-4%)を下回る低水準に止まっているが、中央銀行はインフレ率が16年後半に目標圏内まで上昇すると予想している。これまで景気はごく緩やかな回復基調が続いたが、バーツ高によって輸出の回復が遅れ、さらに足元ではプミポン国王の死去による服喪期間で民間消費が一時的に落ち込む可能性が高まっている。11月9日の金融政策委員会(MPC)では、中央銀行は今後の金融政策余地を確保する観点から政策金利を据え置くものと予想するが、政府が現在検討中の景気対策と足並みを揃えて金融緩和に踏み切る可能性もあるだろう。

主要品目別に見ると、食品・飲料は同3.0%増(前月:同3.5%増)と生産の改善によって低下した。食品・飲料の内訳を見ると、肉類(同4.2%増)や海産食品(同4.8%増)、野菜(同1.6%増)、果物(同3.3%増)が前月に続いて低下した。運輸は同5.5%減(前月:同6.7%減)と、ガソリン価格の値下げを背景に減少しているものの、マイナス幅の縮小は2ヵ月連続となった。また娯楽・文化は同3.4%増と、前月の衛星テレビの料金引上げを受けて高めで推移した。このほか、酒類・タバコは同19.7%増と、昨年11月のタバコ税と今年3月の酒税の見直しによって高水準が続き、住宅・光熱は同2.1%増(前月:同2.1%増)と横ばいとなった。
食品とエネルギーを除いたコアCPI上昇率は同2.1%増(前月:同2.2%増)と、小幅に低下した。
中央銀行は16年のインフレ予想を前年比2.0~3.0%増としており、先行きの物価の上昇圧力は弱い状況が続くとしている。
(2016年10月24日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1780
経歴
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
斉藤 誠のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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