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- 法人企業統計16年1-3月期~企業収益の悪化が鮮明に
2016年06月01日
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1.製造業、非製造業ともに減益に
非製造業は、売上高経常利益率は5.0%と前年と同水準で踏みとどまったが、個人消費を中心とした内需の低迷を反映し、売上高の減少幅が10-12月期の前年比▲3.2%から同▲3.8%へと拡大したことが収益を悪化させた。非製造業の売上高経常利益率(前年差)を要因分解すると、円高、原油価格下落を反映し、変動費要因が利益率を大きく押し上げる一方、人件費要因のマイナス幅が大きく拡大した。非製造業の人件費は8四半期連続で増加し、1-3月期は前年比3.5%と10-12月期の同0.7%から伸びを大きく高めた。
経常利益の内訳を業種別に見ると、製造業は、食料品(前年比10.0%)、化学(同10.3%)は増益を確保したが、海外経済減速や円高の影響などを受けて、はん用機械(前年比▲14.8%)、生産用機械(同▲33.5%)、業務用機械(同▲36.1%)、電気機械(同▲60.7%)、輸送用機械(同▲28.7%)が軒並み前年比二桁の大幅減益となった。非製造業では、不動産市場の好調を反映し建設業(前年比4.1%)、不動産業(同2.3%)は増益を維持したが、個人消費の低迷などから卸売・小売業が前年比▲15.7%と4四半期ぶりの減益となった。
経常利益の内訳を業種別に見ると、製造業は、食料品(前年比10.0%)、化学(同10.3%)は増益を確保したが、海外経済減速や円高の影響などを受けて、はん用機械(前年比▲14.8%)、生産用機械(同▲33.5%)、業務用機械(同▲36.1%)、電気機械(同▲60.7%)、輸送用機械(同▲28.7%)が軒並み前年比二桁の大幅減益となった。非製造業では、不動産市場の好調を反映し建設業(前年比4.1%)、不動産業(同2.3%)は増益を維持したが、個人消費の低迷などから卸売・小売業が前年比▲15.7%と4四半期ぶりの減益となった。
2.設備投資は堅調を維持も先行きは減速へ
企業収益が大きく悪化する一方、設備投資は底堅さを維持しているが、これは企業収益が好調だった時期に計画された設備投資がようやく実施されたことを反映した動きと考えられる。企業の設備投資意欲を示す「設備投資/キャッシュフロー比率」は依然として50%台後半の低水準で推移しており、企業の設備投資意欲がここにきて大きく高まったわけではない。
内閣府の「企業行動アンケート調査(2015年度)」によれば、今後5年間の実質経済成長率見通し(いわゆる期待成長率)は1.1%となり、前年度から0.3ポイント低下した。「設備投資/キャッシュフロー比率」は期待成長率との連動性が高いため、先行きも企業の設備投資意欲が大きく高まることは見込めない。企業収益の悪化を受けて先行きの設備投資は減速基調を強める可能性が高い。
内閣府の「企業行動アンケート調査(2015年度)」によれば、今後5年間の実質経済成長率見通し(いわゆる期待成長率)は1.1%となり、前年度から0.3ポイント低下した。「設備投資/キャッシュフロー比率」は期待成長率との連動性が高いため、先行きも企業の設備投資意欲が大きく高まることは見込めない。企業収益の悪化を受けて先行きの設備投資は減速基調を強める可能性が高い。
3.1-3月期・GDP2次速報は小幅上方修正を予測
本日の法人企業統計の結果等を受けて、6/8公表予定の16年1-3月期GDP2次速報では、実質GDPが前期比0.5%(前期比年率1.9%)となり、1次速報の前期比0.4%(前期比年率1.7%)から若干上方修正されると予測する。

民間在庫は1次速報で仮置きとなっていた原材料在庫、仕掛品在庫に法人企業統計の結果が反映され、1次速報の前期比・寄与度▲0.0%から同▲0.1%へと下方修正されるだろう。その他の需要項目では、3月の建設総合統計が反映されることなどから、公的固定資本形成が1次速報の前期比0.3%から同▲0.5%へと下方修正されると予想する。
(2016年06月01日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1836
経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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