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- 企業物価指数(2016年4月)~円高による下押し圧力が拡大、2009年11月以来の低水準
2016年05月16日
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1.円高による下押し圧力が拡大、2009年11月以来の低水準

前月比では▲0.3%(3月:同▲0.1%)と前月から下落幅を拡大し、11ヵ月連続のマイナスとなった。
国内企業物価注1の前年比寄与度をみると、鉄鋼・建材関連(3月:前年比▲0.5%→4月:同▲0.4%)、為替・海外市況連動型(3月:前年比▲1.8%→4月:同▲1.7%)のマイナス寄与が縮小する一方で、電力・都市ガス・水道(3月:前年比▲1.0%→4月:同▲1.1%)、機械類(3月:前年比▲0.0%→4月:同▲0.2%)、素材(その他)(3月:前年比▲0.6%→4月:同▲0.8%)のマイナス寄与が拡大したため、国内企業物価は前月から下落幅が拡大した。一方、その他(3月:前年比0.2%→4月:同0.1%)は国内企業物価を押し上げた。鉄鋼・建材関連は、アジア需給の悪化に伴う鉄鋼や金属製品、スクラップ類の下落を主因に、マイナスを続けている。為替・海外市況連動型は非鉄金属や石油・石炭製品の下落を反映して、大幅なマイナスを続けている。電力・都市ガス・水道は原油価格の下落を反映した電力・都市ガスの燃料調整や一部電力会社による値下げなどから、下落幅が拡大傾向にある。機械類は電子部品・デバイスや電気機器の下落を反映して弱含んでいる。素材(その他)は化学製品の下落を主因にマイナスを続けている。一方、その他は一部の食品やたばこの価格改定の影響などからプラスを続けている。
注1 1.機械類:はん用機器、生産用機器、業務用機器、電子部品・デバイス、電気機器、情報通信機器、輸送用機器
2.鉄鋼・建材関連:鉄鋼、金属製品、窯業・土石製品、製材・木製品、スクラップ類
3.素材(その他):化学製品、プラスチック製品、繊維製品、パルプ・紙・同製品
4.為替・海外市況連動型:石油・石炭製品、非鉄金属
5.その他:食料品・飲料・たばこ・飼料、その他工業製品、農林水産物、鉱産物
2.輸入物価は大幅なマイナスが続く
4月の輸入物価は円ベース(3月:前年比▲20.3%→4月:同▲19.4%)、契約通貨ベース(3月:前年比▲15.8%→4月:同▲13.7%)ともに前月から下落幅が縮小した。円高の影響で円ベースでの下落幅は契約ベースを上回る状況が続いている。
輸入物価(円ベース)注2の前年比寄与度をみると、化学製品(3月:前年比▲0.6%→4月:同▲0.8%)、機械器具(3月:前年比▲2.3%→4月:同▲2.8%)、その他(3月:前年比▲0.9%→4月:同▲1.2%)のマイナス寄与が拡大する一方で、石油・石炭・液化天然ガス(3月:前年比▲12.7%→4月:同▲11.1%)、金属・同製品(3月:前年比▲2.7%→4月:同▲2.5%)のマイナス寄与が縮小したため、輸入物価は前月から若干下落幅が縮小した。食料品・飼料(3月:前年比▲1.1%→4月:同▲1.1%)の寄与度は前月から変わらなかった。
足元の原油価格(ドバイ、4月月中平均)は前年比▲33%と、昨年8月(同▲53%)をピークに下落幅が緩やかに縮小しているものの、石油・石炭・液化天然ガスは二桁台の大幅なマイナスが続いている。これは、これまでの大幅な原油安の影響が6ヵ月程度遅れて液化天然ガスに波及しているためと考えられる。一方、石油製品は原油価格の持ち直しを反映しマイナス寄与が縮小傾向にある。先行きは昨年末以降の原油価格の持ち直しが石油製品、液化天然ガスの下落を抑制することから、石油・石炭・天然ガスの下落幅は緩やかに縮小することが見込まれる。化学製品はエチレン・プロピレン(3月:前年比▲17.8%→4月:同▲20.6%)やプラスチック(3月:前年比▲13.1%→4月:同▲17.7%)などが下落幅を拡大している。一方、食料品・飼料は円高を主因に加工原料食品(3月:前年比▲20.7%→4月:同▲18.0%)や飼料(3月:前年比▲19.8%→4月:同▲17.8%)を中心に大幅なマイナスを続けている。
輸入物価(円ベース)注2の前年比寄与度をみると、化学製品(3月:前年比▲0.6%→4月:同▲0.8%)、機械器具(3月:前年比▲2.3%→4月:同▲2.8%)、その他(3月:前年比▲0.9%→4月:同▲1.2%)のマイナス寄与が拡大する一方で、石油・石炭・液化天然ガス(3月:前年比▲12.7%→4月:同▲11.1%)、金属・同製品(3月:前年比▲2.7%→4月:同▲2.5%)のマイナス寄与が縮小したため、輸入物価は前月から若干下落幅が縮小した。食料品・飼料(3月:前年比▲1.1%→4月:同▲1.1%)の寄与度は前月から変わらなかった。
足元の原油価格(ドバイ、4月月中平均)は前年比▲33%と、昨年8月(同▲53%)をピークに下落幅が緩やかに縮小しているものの、石油・石炭・液化天然ガスは二桁台の大幅なマイナスが続いている。これは、これまでの大幅な原油安の影響が6ヵ月程度遅れて液化天然ガスに波及しているためと考えられる。一方、石油製品は原油価格の持ち直しを反映しマイナス寄与が縮小傾向にある。先行きは昨年末以降の原油価格の持ち直しが石油製品、液化天然ガスの下落を抑制することから、石油・石炭・天然ガスの下落幅は緩やかに縮小することが見込まれる。化学製品はエチレン・プロピレン(3月:前年比▲17.8%→4月:同▲20.6%)やプラスチック(3月:前年比▲13.1%→4月:同▲17.7%)などが下落幅を拡大している。一方、食料品・飼料は円高を主因に加工原料食品(3月:前年比▲20.7%→4月:同▲18.0%)や飼料(3月:前年比▲19.8%→4月:同▲17.8%)を中心に大幅なマイナスを続けている。

注2 1.機械器具:はん用・生産用・業務用機器、電気・電子機器、輸送用機器
2.その他:繊維品、木材・同製品、その他産品・製品
3.最終財は下落基調を強める
4月の需要段階別指数(国内品+輸入品)をみると、素原材料が前年比▲27.2%(3月:同▲31.5%)、中間材が前年比▲7.6%(3月:同▲7.0%)、最終財が前年比▲2.7%(3月:同▲2.1%)となった。
原油安や円高の影響が輸入物価を経由して、川下の最終財へ伝播している。最終財は価格転嫁の進捗などから堅調に推移していたが、2015年11月に下落に転じた後下落幅を拡大している。原油価格(ドバイ)は1月の1バレル=20ドル台半ばから、足元では40ドル台前半まで持ち直しているが、過去の原油安の影響が遅れて反映されることに加え円高の影響が顕在化するため、最終財は2016年夏場にかけて下落基調を強めることが見込まれる。このため、最終財のうち消費者物価と関連性の高い消費財は、2016年秋頃までマイナス圏の推移が続くとみている。
原油安や円高の影響が輸入物価を経由して、川下の最終財へ伝播している。最終財は価格転嫁の進捗などから堅調に推移していたが、2015年11月に下落に転じた後下落幅を拡大している。原油価格(ドバイ)は1月の1バレル=20ドル台半ばから、足元では40ドル台前半まで持ち直しているが、過去の原油安の影響が遅れて反映されることに加え円高の影響が顕在化するため、最終財は2016年夏場にかけて下落基調を強めることが見込まれる。このため、最終財のうち消費者物価と関連性の高い消費財は、2016年秋頃までマイナス圏の推移が続くとみている。
4.国内企業物価は夏場にかけて大幅なマイナス
(2016年05月16日「経済・金融フラッシュ」)
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