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- 貿易統計16年3月~1-3月期の外需寄与度は前期比0.2%程度のプラスに
2016年04月20日
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1.季節調整値の貿易収支は5ヵ月連続の黒字
財務省が4月20日に公表した貿易統計によると、16年3月の貿易収支は7,550億円と2ヵ月連続の黒字となったが、事前の市場予想(QUICK集計:8,833億円、当社予想は7,339億円)は若干下回った。輸出は前年比▲6.8%(2月:同▲4.0%)と6ヵ月連続で減少したが、輸入が前年比▲14.9%(2月:同▲14.2%)と輸出の減少幅を上回ったため、貿易収支は前年に比べ5,315億円の改善となった。
輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比▲1.0%(2月:同0.2%)、輸出価格が前年比▲5.8%(2月:同▲4.2%)、輸入の内訳は、輸入数量が前年比5.2%(2月:同▲2.3%)、輸入価格が前年比▲19.1%(2月:同▲12.2%)であった。
輸出の内訳を数量、価格に分けてみると、輸出数量が前年比▲1.0%(2月:同0.2%)、輸出価格が前年比▲5.8%(2月:同▲4.2%)、輸入の内訳は、輸入数量が前年比5.2%(2月:同▲2.3%)、輸入価格が前年比▲19.1%(2月:同▲12.2%)であった。
季節調整済の貿易収支は2,765億円の黒字となり、2月の1,504億円から黒字幅が拡大した。輸出が前月比0.1%(2月:同▲2.4%)の横ばいにとどまる一方、円高の影響などから輸入が前月比▲2.1%(2月:同▲3.3%)と8ヵ月連続で減少した。貿易収支は15年11月に東日本大震災以降初の黒字となった後、輸入の減少を主因として黒字幅の拡大傾向が続いている。
2.主要3地域向けの輸出は堅調
3月の輸出数量指数を地域別に見ると、米国向けが前年比▲6.1%(2月:同▲3.2%)、EU向けが前年比13.6%(2月:同10.2%)、アジア向けが前年比0.0%(2月:同1.1%)となった。
1-3月期の地域別輸出数量指数を季節調整値(当研究所による試算値)でみると、米国向けが前期比2.9%(10-12月期:同▲1.4%)、EU向けが前期比5.9%(10-12月期:同5.2%)、アジア向けが前期比0.6%(10-12月期:同1.4%)、全体では前期比▲0.5%(10-12月期:同0.7%)となった。主要3地域向けは堅調だったが、中東、中南米、ロシアなどその他地域が低調だったため、輸出数量全体では2四半期ぶりの低下となった。
年明け以降、海外経済に対して悲観的な見方が広がっているが、現時点では輸出の失速を起点とした景気の急速な悪化は回避されている。なお、景気の急減速が特に懸念されている中国向けの輸出数量指数(季節調整値)は15年10-12月期に前期比1.4%と8四半期ぶりの上昇となった後、16年1-3月期も同0.6%と持ち直しの動きを続けている。
1-3月期の地域別輸出数量指数を季節調整値(当研究所による試算値)でみると、米国向けが前期比2.9%(10-12月期:同▲1.4%)、EU向けが前期比5.9%(10-12月期:同5.2%)、アジア向けが前期比0.6%(10-12月期:同1.4%)、全体では前期比▲0.5%(10-12月期:同0.7%)となった。主要3地域向けは堅調だったが、中東、中南米、ロシアなどその他地域が低調だったため、輸出数量全体では2四半期ぶりの低下となった。
年明け以降、海外経済に対して悲観的な見方が広がっているが、現時点では輸出の失速を起点とした景気の急速な悪化は回避されている。なお、景気の急減速が特に懸念されている中国向けの輸出数量指数(季節調整値)は15年10-12月期に前期比1.4%と8四半期ぶりの上昇となった後、16年1-3月期も同0.6%と持ち直しの動きを続けている。
1-3月期の輸入数量指数(当研究所による季節調整値)は前期比1.5%(10-12月期:同▲1.4%)と2四半期ぶりの上昇となったが、個人消費を中心とした国内需要の弱さを反映し、均してみれば横ばい圏の推移が続いている。
3.貿易黒字はしばらく続くが、定着の可能性は低い
4.1-3月期の外需寄与度は前期比0.2%程度のプラスに
3月までの貿易統計と2月までの国際収支統計の結果を踏まえて、16年1-3月期の実質GDPベースの財貨・サービスの輸出入を試算すると、輸出が前期比1%程度の増加、輸入が前期比でほぼ横ばいとなることが見込まれる。この結果、1-3月期の外需寄与度は前期比0.2%と3四半期連続のプラス(10-12月期:同0.1%)となることが予想される。
当研究所では鉱工業生産、家計調査、建築着工統計等の結果を受けて、4/28のweeklyエコノミストレターで1-3月期の実質GDP成長率の予測を公表する予定である。現時点では、外需が成長率を押し上げることに加え、うるう年による日数増の影響もあり民間消費が2四半期ぶりの増加となることなどから、前期比年率1%程度のプラス成長を予想している。
当研究所では鉱工業生産、家計調査、建築着工統計等の結果を受けて、4/28のweeklyエコノミストレターで1-3月期の実質GDP成長率の予測を公表する予定である。現時点では、外需が成長率を押し上げることに加え、うるう年による日数増の影響もあり民間消費が2四半期ぶりの増加となることなどから、前期比年率1%程度のプラス成長を予想している。
(2016年04月20日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- ・ 1992年:日本生命保険相互会社
・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
・ 2019年8月より現職
・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
・ 2018年~ 統計委員会専門委員
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