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Jリートは4年ぶりに下落。2015年訪日外国人客数は47%増加-不動産クォータリー・レビュー2015年第4四半期
基礎研REPORT(冊子版) 2016年3月号

金融研究部 不動産調査室長 岩佐 浩人
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1――経済動向と住宅市場
住宅市場は価格が上昇するなか、全体ではまだら模様の状況が続く。2015年の新設住宅着工戸数は1.9%増加の約90.9万戸となり、消費増税の影響で大幅に減少した昨年から持ち直した[図表2]。このうち、貸家は+4.6%と4年連続で増加し、分譲マンションは+4.7%と2年ぶりに増加した。
2015年の首都圏のマンション新規発売戸数は▲9.9%の40,449戸となり2年連続で減少した。1戸当たりの平均価格は9.1%上昇の5,518万円で1991年以来の高い水準となった。2015年の首都圏中古マンションの成約件数は約3.4万件(前年比+2.9%)で2年ぶりに増加し、成約価格は+6.1%の2,892万円となり3年連続で上昇した。
今後は、来年の消費増税対策として実施されるすまい給付金増額や住宅取得の贈与税非課税枠拡大、マイナス金利導入後の住宅ローン金利の動向、タワーマンションの節税規制の影響などが注目される。
2――地価動向
3――不動産サブセクターの動向
東京のオフィス市場は、空室率が大きく低下している。三鬼商事によると12月の都心5区空室率は前月比0.16%低下の4.03%となり、オーナー優位の目安とされる5%を6カ月連続で下回った。他の主要都市の空室率も軒並み低下している[図表4]。
成約賃料データに基づくオフィスレント・インデックス(第4四半期)は、東京Aクラスビルが前期比▲7.8%下落の32,872円となった。過去2期で14%超上昇した反動から下落したものの、前年比では15期連続でプラスを維持している。森ビルの調査によると、2016年の東京23区大規模ビルの供給量は107万㎡で過去平均(103万㎡)を上回る見通しだが、ニッセイ基礎研究所では現在の賃料上昇サイクルは少なくとも今年いっぱい維持するとみている。
商業動態統計によると、2015年の販売額は消費増税に伴う落ち込みの反動が消えたことから、既存店ベースで百貨店が+0.5%、スーパーが+0.3%、コンビニエンスストアが+0.9%となり、いずれの業態も底堅く推移した。
全国61都市のホテル客室稼働率(12月)は前年比0.9%上昇の76.8%となり、年間を通じて過去最高水準で推移している[図表6]。2015年の訪日外国人客数は、円安やビザの発給要件緩和、免税制度の拡充などを背景に、47%増加の1,973万人となり3年連続で過去最高を更新した[図表7]。国・エリア別にみると、中国が107%増加し499万人となった。続いて韓国、台湾の順に多く、3つのエリアで全体の64%を占める。また、訪日外国人の旅行消費額は71%増加の3.4兆円となった。首都圏大型物流施設の第4四半期空室率は前期比3.4%上昇の6.9%、近畿圏は前期比1.0%低下の3.5%となった[図表8]。首都圏では第4四半期に過去最大規模となる約50万㎡の新規供給があり全体の空室率を押し上げた。2016年の首都圏の新規供給は前年比20%増加の約120万㎡が予定されており、競合の多いエリアでは需給が緩和するとみられる。
4――J-REIT市場(不動産投信)
2015年のJ-REIT市場を振り返ると、東証REIT指数の騰落率は▲7.9%となり4年ぶりに下落した[図表9]。過去3年にわたる大幅高の反動や世界景気の減速懸念など背景に、1月の高値から9月の安値まで一時▲24%下落したが、その後は追加の金融緩和期待から反発し下落幅は縮小した。
J-REITによる物件取得額は約1.6兆円で前年から横ばいとなった。第3四半期までは昨年を上回るペースで物件取得が進んだものの、第4四半期は2,881億円(前年同期比▲43%)と大幅に減少した。取得不動産の内訳は、オフィス(占率42%)が最も大きかったが、商業施設(前年比63%増)やホテル(前年比133%増)の取得が大きく伸びた。また、上場銘柄数は3社増えて52社、市場全体の運用不動産額は14兆円となり、順調な拡大を遂げた1年となった。
(2016年03月07日「基礎研マンスリー」)
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03-3512-1858
- 【職歴】
1993年 日本生命保険相互会社入社
2005年 ニッセイ基礎研究所
2019年4月より現職
【加入団体等】
・一般社団法人不動産証券化協会認定マスター
・日本証券アナリスト協会検定会員
岩佐 浩人のレポート
日付 | タイトル | 執筆者 | 媒体 |
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