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- 人手不足時代の企業経営~2015年度下期ニッセイ景況アンケートから~
2016年03月02日
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■要旨
日本生命保険(相)とニッセイ・リース(株)は、取引先企業を対象に「ニッセイ景況アンケート調査 2015 年度下期調査」を実施し、(株)ニッセイ基礎研究所が集計・分析を行った。調査は定例の景況感に関する調査と、時々の企業経営の課題に関する特別調査から成っており、今回は「人手不足時代の企業経営」を取り上げた。
今回の特別調査では、多くの企業が現在人手不足を感じていることが確認され、スキル・職種別の過不足状況は業種によって大きな差があること、省力化投資に関る課題が製造業と非製造業では大きく異なること、などが分かった。
■目次
1――はじめに
2――調査の背景
3――調査結果
1|各過半数の企業が人手不足を感じている
2|パート・アルバイトの不足に悩む飲食業
3|処遇改善の中心は賃金の引き上げ
4|省力化の障害
5|海外人材の登用
6|中小企業の人手不足
4――おわりに
日本生命保険(相)とニッセイ・リース(株)は、取引先企業を対象に「ニッセイ景況アンケート調査 2015 年度下期調査」を実施し、(株)ニッセイ基礎研究所が集計・分析を行った。調査は定例の景況感に関する調査と、時々の企業経営の課題に関する特別調査から成っており、今回は「人手不足時代の企業経営」を取り上げた。
今回の特別調査では、多くの企業が現在人手不足を感じていることが確認され、スキル・職種別の過不足状況は業種によって大きな差があること、省力化投資に関る課題が製造業と非製造業では大きく異なること、などが分かった。
■目次
1――はじめに
2――調査の背景
3――調査結果
1|各過半数の企業が人手不足を感じている
2|パート・アルバイトの不足に悩む飲食業
3|処遇改善の中心は賃金の引き上げ
4|省力化の障害
5|海外人材の登用
6|中小企業の人手不足
4――おわりに
1――はじめに
日本生命保険(相)とニッセイ・リース(株)は、取引先企業を対象に「ニッセイ景況アンケート調査 2015 年度下期調査(2016 年1月実施、回答企業数3994社)」を実施し、(株)ニッセイ基礎研究所が集計・分析を行った。調査は定例の景況感に関する調査と、時々の企業経営の課題に関する特別調査から成っている。今回の特別調査は「人手不足時代の企業経営」を取り上げ、企業における人員の過不足状況や今後の対応方針について調査している。定例調査項目を含む調査全体については、「ニッセイ景況アンケート調査結果-2015年度下期調査」を御覧いただきたい。
以下では特別調査の概要をご紹介する。調査では、多くの企業が現在人手不足を感じており、将来も同じような状況が続くと考えていることが確認され、スキル・職種別の過不足状況は業種によって大きな差があること、省力化投資に関る課題が製造業と非製造業では大きく異なること、などがわかった。
以下では特別調査の概要をご紹介する。調査では、多くの企業が現在人手不足を感じており、将来も同じような状況が続くと考えていることが確認され、スキル・職種別の過不足状況は業種によって大きな差があること、省力化投資に関る課題が製造業と非製造業では大きく異なること、などがわかった。
2――調査の背景
3――調査結果

自社の人員の過不足状況について、現状は「全体に不足している」と回答した企業は11.9%で、「一部の人材・職種で不足」と回答した企業は40.7%だった(図表2)。人手不足を感じている企業の割合(「全体に不足」と「一部の人材・職種で不足」の合計)は52.6%で半数以上だった。一方「全体に過剰である」と回答した企業は1.1%で、「一部の人材・職種で過剰」と回答した企業の4.8%と合わせても、人員の過剰を感じている企業は5.9%に過ぎない。人手不足を感じている企業の割合は、製造業の47.7%に対し、非製造業では55.8%で非製造業の方が人手不足を感じている企業の割合が高い。
3~5年後の見通しについての回答は、現状についての回答と大きな差は見られない。全体的に無回答の割合が若干高まる中で、過剰という回答が減少し、不足の中で「一部の人材・職種で不足」が減少して「全体に不足」が増える傾向が見られる。企業は現在の人手不足の状況が一時的なものではなく、持続的なものと考えていることがうかがえる。

毎月勤労統計調査で見ると、フルタイムの一般労働者に比べてパートタイム労働者の賃金の上昇が顕著であるなど、マスコミ報道などでは、いわゆる正社員にくらべてパートやアルバイトなどの非正規職員の逼迫が伝えられている。しかし本調査では、「パート・アルバイト」の不足感は高くない。このような結果が得られたのは、パートやアルバイトへの依存度が業種によって大きく違うことが原因とみられる。
業種別にみると、パート・アルバイトの不足を感じている企業の割合は、非製造業では(図表4)「飲食」が74.2%、「小売」が47.7%、製造業では「食品」が64.8%となっており、一部に非常にパート・アルバイト人材の不足感の強い業種がある。会社全体でみた人員の過不足状況(図表2)についても、業種別では「飲食」は70.9%、「小売」も63.6%、が不足を感じている。「建設・設備工事」でも、66.1%が会社全体としては人手不足と感じているが、パート・アルバイトの不足を感じている企業は少ない。建設・設備では特殊な技能を持った人材の不足が人手不足の原因であるためと見られる。労働力調査の業種分類は本調査とは少し異なっているが、「飲食店」「小売業」「食料品製造業」では、雇用者の中でパート・アルバイトなどの「非正規の職員・従業員」が「正規の職員・従業員」を上回っている。パートやアルバイトを大量に雇用している企業では、採用が困難になっていて賃金上昇につながっているものと見られる。
(2016年03月02日「基礎研レポート」)
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