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- 令和の日本経済はどうなるか-経済予測の限界と意義
1―経済予測は当たらない
両方に共通するのは、予測に大きな影響を与える想定外の事態が起こるが、それを予測するのは極めて難しいということではないか。野球であれば主軸選手が試合中にケガをして出場できなくなってしまうとか、過去に大した実績がない無名選手が突如大活躍するといったことが起こりうるが、事前には予測できない。経済についても、2016年の米国大統領選挙でトランプ大統領が誕生し、その後中国との間で関税の引き上げ競争をすることや、英国が国民投票でEUからの離脱を決めるなどと言うことは、予測できなかった。
経済活動には、人間が引き起こすものだけではなく、地震・台風といった大規模な自然災害も影響を与えるが、こちらも、いつ、何が起こるのかは、神のみぞ知ることであり、人知の及ばない領域だ。経済に大きな影響をあたえるが、予測不可能なことが何かしら起こるのだから、達観してしまえば経済予測は必ず外れる運命にある。筆者は長年経済予測をしてきたが、当てにならない経済予測などいらないと面と向かって言われたことも少なくない。
2―経済予測の意義
経済予測の前提となる事象の予測ができないとは言うものの、将来発生する確度が高いものと、可能性が低いもの、発生の確率が全く分からないものがある。日本の人口構造が高齢化していくことはまず間違いないことで、他の要因がどうなっても令和の日本経済が対応しなくてはならない大きな課題だ。中国やインドなどの新興国がさらに発展して、欧米諸国や日本などのこれまでの先進諸国との間で、さまざまな摩擦が起こることも避けられまい。地球環境の変化が天候に影響を与え、経済にも様々な影響を与えることになる可能性も高いだろう。
歴史を振り返れば、後世の人達から見れば必然的に見える危機を回避できなかったということが何度も繰り返されている。経済予測は当たるとは言えないが、筆者はこれまで、経済予測の役割の一つは、これからおこる可能性の高い事象が日本経済にどのような影響を与えるかを示して、我々がどのように対応するかを考える材料とすることではないかと考えてきた。避けられるはずの危機を回避し、少しでも悪影響を緩和することが当たらないと批判される経済予測を作り続ける意義であり、これは恐らく今後も変わらないだろう。
3―切り替わる時代
もっとも、昭和を通して生きてきた世代の人達からすれば、戦争や恐慌を経験した昭和の方がずっと激動の時代だったと思えるだろう。いつの時代も問題の種は尽きず、その時代を生きている人達には平穏だとは決して感じられないものなのかも知れない。
令和の日本経済もこれから様々な事件に遭遇し、令和を生きた人達が次の時代の変わり目に振り返ってみれば、令和は大変な時代だったと述懐することになるのだろうか。
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櫨(はじ) 浩一 (はじ こういち)
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(2020年02月07日「基礎研マンスリー」)
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