2015年04月17日

ドル高が米経済に与える影響-ドル高の悪影響が一部顕在化

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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【要旨】

  1. 14年夏場以降、米ドル高が加速している。実質実効為替レートは、02年の高値より低い水準に留まっているものの、主要通貨に対するドル高のスピードは過去20年で最も早くなっている。ドル高の要因としては米国と他国の金融政策のサイクルの違いが指摘される。さらに、ドル高は物価を押し下げることで物価目標の達成がさらに困難になるため、米金融政策の意思決定に際して考慮すべき要因として、為替動向の重要性が高まっている。
  2. ドル高に伴う企業業績への影響が一部顕在化している。製造業やグローバル企業などでは売上、収益などに悪影響がでている。もっとも、企業業績への影響は、業種によって異なり、米企業全体でみれば限定的である。
  3. 対外収支では、西海岸の港湾ストの影響もあり、足元の貿易赤字は縮小しているものの、ドル高は純輸出(輸出-輸入)を減少させ、成長率を押し下げる。もっとも、欧州をはじめ海外経済の回復基調が強まっており、輸出への影響は一部減殺されるとみられる。
  4. このように、ドル高は経済にネガティブに影響しているものの、海外経済の大幅な落ち込みやドル高の一段の加速などがなければ、米景気回復を頓挫させ、今年の政策金利の引上げを見送らざるを得ない程の影響はないであろう。
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(2015年04月17日「Weekly エコノミスト・レター」)

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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

経歴
  • 【職歴】
     1991年 日本生命保険相互会社入社
     1999年 NLI International Inc.(米国)
     2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
     2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
     2014年10月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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