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- 【2月米雇用統計】大幅な雇用増にも係わらず、賃金上昇率は再び伸びが鈍化
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【要旨】
1.結果の概要:雇用者数の伸び、失業率ともに予想を上回る結果
3月6日、米国労働省(BLS)は2月の雇用統計を公表した。2月の非農業部門雇用者数は前月対比で+29.5万人の増加 (前月改定値:+23.9万人)となり、前月から伸びが加速したほか、市場予想の+23.5万人(Bloomberg集計の中央値、以下同様)をも上回った。
さらに、失業率は5.5%(前月:5.7%、市場予想:5.6%)とこちらも前月から0.2%低下し、市場予想を上回る改善を示した。一方、労働参加率 は62.8%(前月:62.9%、市場予想:62.9%)と前月から0.1%低下し、市場予想も下回った(詳細はPDFを参照)。
2.結果の評価:雇用者数は順調に増加しているものの、賃金の伸びは再び鈍化
2月の雇用増が20万人を超えたことで、20万人超の増加は12ヵ月連続となった。また、過去12ヵ月の累計雇用増加数は330万人と、2000年3月の336万人に次ぐペースとなっており、順調な雇用増加が続いていると言える。
また、失業率は5.5%と08年5月以来の水準となったほか、FRBが目標水準としている失業率(5.2-5.5%)の上限まで低下した。もっとも、2月は労働力人口が前月から▲17.8万人と比較的大きな減少となっており、労働参加率も62.8%と前月から小幅低下するなど、労働力人口が増加しない中での失業率低下については慎重にみるべきだろう。労働参加率は62.7~62.9%での推移が続いており、失業率が順調に低下しているものの、労働参加率の改善は停滞している。
一方、2月の時間当たり賃金は、24.78ドル(前月:24.75ドル)となり、前月比では+0.1%と小幅ながら増加したものの、前年同月比では+2.0%(前月:+2.2%)と前月から伸びが鈍化した。
時間当たり賃金は、雇用者数、失業率といった「量」の改善が強まっている中でも、前年同月比で2%近辺からの加速がみられていない。
労働市場は、後述する広義の失業率(U-6)も高止まるなど、雇用増、失業率などの「量」的な改善に比べて、「質」的な改善には依然として大きな乖離がある。
(2015年03月09日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1824
- 【職歴】
1991年 日本生命保険相互会社入社
1999年 NLI International Inc.(米国)
2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
2014年10月より現職
【加入団体等】
・日本証券アナリスト協会 検定会員
窪谷 浩のレポート
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