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- 【インドネシア10-12月期GDP】前年同期比+5.0%~成長率は改善も、力強さ欠ける内容~
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1.10-12月期は前年同期比+5.0%と改善
インドネシア中央統計庁(BPS)は2月5日、2014年10-12月期の国内総生産(GDP)を公表した。実質GDPは前年同期比(原系列)5.0%と前期(同+4.9%)から改善し、市場予想(同+4.9%)を僅かに上回った。2014年通年の成長率は前年比+5.0%と、前年の同+5.6%から鈍化した。
2.新政権の始動で投資主導の成長なるか
10-12月期の成長率は1年ぶりに改善したが、依然として力強さに欠けている。投資は政策の先行き不透明感や高金利の継続によって鈍いままであり、輸出は未加工鉱石の輸出制限措置と資源価格の下落の影響で低迷している。また、消費は燃料補助金の削減やルピア安によるインフレ圧力を受けてやや鈍化している。
しかし、先行きは新政権の政策効果と原油安の追い風を受けて内需を中心に回復し、成長率は5%台半ばまで改善するだろう。まず投資は、公共投資を中心に拡大が見込まれる。2015年度補正予算案では、補助金削減によってインフラ関連投資に約100兆ルピアが補填されることになった。また、政府は今年1月から投資申請窓口の一元化を始めたほか、年内には2つ経済特区(SEZ)が稼働する見込みである。また、消費は補助金削減とルピア安によるインフレ圧力で萎縮する懸念は残るが、そのインフレ圧力は資源価格下落によって和らぐほか、政府の低所得者対策もあり、引き続き成長の牽引役になるものと期待できる。
景気が上向くといっても、多くの課題は抱えたままである。輸出については、資源の輸出規制の継続が予想されるほか、資源価格の下落を受けて石炭・天然ガスなど主力の資源輸出が低迷するだろう。また、米国の利上げ観測が高まる局面では、インドネシアの利上げも予想される。また、野党が多数派を占める国会では、与野党間の調整が難航しそうだ。新政権の下でインドネシアが飛躍できるのか、引き続き世界からの厳しい目が新政権に向けられている。
(2015年02月06日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1780
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
斉藤 誠のレポート
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