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- 【インドネシア7-9月期GDP】前年同期比+5.0%~投資・輸出の不調で3期連続の減速に~
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1.7-9月期は前年同期比+5.0%に減速
インドネシア中央統計庁(BPS)は11月5日、2014年7-9月期の国内総生産(GDP)を公表した。実質GDPは前年同期比(原系列)5.0%と小幅に減速し、前期(同+5.1%)を下回った。
2.新内閣発足、投資主導の成長なるか
インドネシアの2014年7-9月期のGDP成長率は5年ぶりの最低水準を記録した。成長率鈍化の主因が投資の減速と輸出の停滞にある。投資は、新政権の政策の不透明感や金利高止まりの影響で企業が慎重になっている。また、輸出も未加工鉱石の輸出制限措置 の影響でルピア安や海外需要の緩やかな拡大の恩恵を享受し切れずに停滞している。
投資・輸出の低迷は、現時点でも大きな変化が見られていない上、年内には燃料補助金の追加削減が予想される。補助金付き燃料の値上げは、家計の実質所得の低下を通じて、個人消費に下押し圧力が加わる。政府が11月3日に打ち出した低所得者対策は補助金付き燃料の値上げによる個人消費への影響を一定程度緩和するだろうが、10-12月期の成長率は投資・輸出に加えて消費も力強さに欠けるものとなりそうだ。また、来年以降は補助金燃料の引上げによるインフレを抑制するための利上げも見込まれ、金融コストの上昇や購買意欲の減退が懸念される。
しかし、来年を考えると悪い材料ばかりでもない。10月27日に発足した新内閣の閣僚は汚職撲滅委員会で調査済みであるほか、閣僚の半数以上が実務家・専門家であり、今後はクリーンでスピード感のある政策運営が期待される。また、新政権が具体的な経済政策を打ち出せば、企業の投資も動き出し、投資主導で景気も回復基調に切り替わる可能性も出てくる。さらに、補助金付き燃料の値上げは経常収支の改善にも寄与、海外資金の流出を抑える効果もある。来年に見込まれる米国の利上げは、日本の追加緩和や欧州の緩和姿勢の継続で相殺され、資金流出は当初の懸念よりも和らいできたと見ている。
(2014年11月06日「経済・金融フラッシュ」)
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03-3512-1780
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
斉藤 誠のレポート
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