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- リンギ安進むマレーシア~原油安による経済への影響~
2015年02月02日
- 昨年9月頃から世界経済の景気減速懸念と原油安を背景とするリスク回避の動きが強まり、ASEAN4の中では産油国マレーシアの通貨リンギットが相対的に下落している。本稿では、原油安がマレーシアのファンダメンタルズに与える影響について考える。
- マレーシアは産油国であるが、原油・石油製品の貿易黒字は僅かであり、原油よりも天然ガスやパーム油の価格下落の方が貿易収支に対する負影響は大きいといえる。また今後、天然ガス価格の下落した場合にも貿易収支は赤字化には至らないと見ているが、所得収支とサービス収支は恒常的に赤字が続いているだけに、経常収支が赤字化するリスクは付きまとう。
- また、政府は2015年度予算を見直すなど財政健全化に向けた強い姿勢を示しており、財政赤字が拡大するリスクは低下したが、緊縮財政による景気減速の確度は高い。従って、景気減速によって政権支持率が低下するなかでも財政再建のスタンスを維持できるか、また第11次マレーシア計画の公表に合わせて規制改革など民間投資の活性化策が打ち出されるかに注目したい。
- 金融政策については、原油安によってインフレ圧力が緩和されたことから、政策金利は当面据え置かれるだろう。しかし、外貨準備の水準を見る限り、米利上げ観測が高まる頃にマレーシア中銀は利上げを迫られると予想する。
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経歴
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
(2015年02月02日「Weekly エコノミスト・レター」)
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