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- 大統領選挙と株価の動き―対照的な日本の現状-
株価は経済を映す鏡といわれるように、その時々の経済ファンダメンタルズを反映して、株価は形成されると考えられる。経済が好転すれば株価は上昇するし、悪化すれば株価は下落する。しかし、過去の株価の動きを振り返ってみると、ファンダメンタルズでは説明がつかないような規則性が認められる。1月は他の月に比べて株価が上昇しやすいとか、小型株は大型株に比べてリターンが高いといった傾向だ。こうした現象は、合理的に説明できないことから、アノマリーと呼ばれている。
アノマリーのなかには、米国の大統領選挙と株価の関係についてのものがある。大統領選挙の前年の株式リターンが高いという規則性だ。1952年から2008年までの15回の大統領選挙を対象として、前後の株式リターンをダウ工業株30種平均で計算すると、大統領選挙の2年前から1年前までのリターンが18.4%と突出して高いことを確認できる。しかも、過去15回の全てでプラスのリターンを達成しているのだ。なお、直前の1年間のリターンはその次に高いリターンとなっており、大統領選挙の2年前から直前までの2年間のリターンは24.2%と、直後の2年間のリターン8.4%を大きく上回る。
なぜ、このようなことが起きるのであろうか。「大統領選挙を有利に進めるために、早め早めに財政・金融政策などの経済対策が打ち出され、株式市場もそれに反応するため」との説明がしばしば聞かれる。“苦し紛れ”ともとれなくもないが、政権与党としては当然の意識であり、結果として先行きの経済好転が期待されるのであれば、こうしたアノマリーが現れても不思議ではない。
2012年11月は4年に一度の大統領選挙が行われるが、今回も例外ではないようだ。2010年10月末から2012年10月26日までの約2年間で17.9%と高いリターンを実現している。リーマンショックの傷が癒えず、更には欧州債務危機により世界的に経済が減速傾向を示すなかでの20%近い上昇には、米国の底力を感じる。
それに引き換え、日本の株価の低迷ぶりが目に付く。米国株式が17.9%上昇した直近の過去2年間で、日経平均のリターンはマイナス2.9%であった。衆議院選挙を“近いうち”に控えているにも拘わらずである。様々な違いから米国の大統領選挙と同列に語ることはできないが、こうした株価の動きからも日本経済が如何に深刻な状況に陥っているかを窺い知ることができる。深刻な状況から抜け出すためには、混沌とした現状を認識することが、まず有権者に求められる。
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