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2025年09月18日

米住宅着工・許可件数(25年8月)-着工件数(前月比)は減少に転じたほか、市場予想も下回る

経済研究部 主任研究員 窪谷 浩

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1.結果の概要:住宅着工、許可件数ともに市場予想を下回る

9月17日、米国センサス局は8月の住宅着工、許可件数を発表した。住宅着工件数(季節調整済、年率)は130.7万件(前月改定値:142.9万件)と142.8万件から小幅上方修正された前月を大幅に下回り、25年5月以来の水準に低下したほか、市場予想の136.5万件(Bloomberg集計の中央値)も大幅に下回った(図表1、図表3)。

先行指標である着工許可件数(季節調整済、年率)は131.2万件(前月:136.2万件)とこちらも前月、前月からの回復を見込んだ市場予想の137.0万件を下回った(図表2、図表5)。
(図表1)住宅着工件数/(図表2)住宅着工許可件数

2.結果の評価:着工、許可件数ともに戸建ての減少が継続

住宅着工件数の伸びは前月比▲8.5%(前月:+3.4%)と3ヵ月ぶりにマイナスに転じた(図表3)。戸建て住宅が▲7.0%(前月:+3.5%)、2戸以上を合計した集合住宅が▲11.7%(前月:+3.3%)といずれも前月からマイナスに転じた(図表4)。

前年同月比は▲6.0%(前月:+13.0%)と3ヵ月ぶりにマイナスに転じた。集合住宅が+8.9%(前月:+19.8%)と6ヵ月連続でプラスを維持した一方、戸建てが▲11.7%(前月:+9.9%)と前月からマイナスに転じて全体を押し下げた。

地域別寄与度(前月比)は、北東部が+0.6%ポイント(前月:▲5.4%ポイント)、西部が+5.1%ポイント(前月:▲5.1%ポイント)と前月からプラスに転じた。一方、中西部が▲1.9%ポイント(前月:+4.1%ポイント)、南部が▲12.4%ポイント(前月:+9.9%ポイント)と前月からマイナスに転じるなどマチマチの結果となった。
(図表3)住宅着工件数(伸び率)/(図表4)住宅着工件数前月比(寄与度)
先行指標である住宅着工許可件数は、前月比が▲3.7%(前月:▲2.2%)と5ヵ月連続のマイナスとなった(図表5)。戸建てが▲2.2%(前月:+1.0%)と前月からマイナスに転じたほか、集合住宅が▲6.4%(前月:▲7.6%)とこちらも2ヵ月連続のマイナスとなった(図表6)。

前年同月比は▲11.1%(前月:▲5.2%)と5ヵ月連続のマイナスとなった。戸建てが▲11.5%(前月:▲7.4%)と15ヵ月連続のマイナスとなったほか、集合住宅も▲10.4%(前月:▲0.8%)と2ヵ月連続のマイナスとなったことに加え、マイナス幅が大幅に拡大した。
(図表5)住宅着工許可件数(伸び率)/(図表6)住宅着工許可件数前月比(寄与度)
(図表7)住宅市場指数(項目別) 一方、全米建設業協会(NAHB)による戸建て新築住宅販売のセンチメントを示す住宅市場指数は、25年9月が32(前月:32)と前月から横ばいとなった一方、回復を見込んだ市場予想(33)を下回った(図表7)。これで同指数が好不況の境となる50を下回るのは17ヵ月連続となった。

内訳は販売見込みが45(前月:43)と前月から+2ポイント上昇した一方、販売現況が35(前月:35)と前月から横這いとなったほか、客足が21(前月:22)とこちらは前月から▲1ポイント低下するなど、マチマチの結果となった。

9月の住宅市場指数の結果は依然低調であるものの、NAHBのバディ・ヒューズ会長は「建設業者は引き続き建設コストの上昇に対処しているが、ここ1か月間の住宅ローン金利の低下は住宅需要の刺激につながるはずだ」と住宅ローン金利の低下が住宅需要の回復に寄与するとの期待を示した。

本資料記載のデータは各種の情報源から入手・加工したものであり、その正確性と完全性を保証するものではありません。
また、本資料は情報提供が目的であり、記載の意見や予測は、いかなる契約の締結や解約を勧誘するものではありません。

(2025年09月18日「経済・金融フラッシュ」)

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経済研究部   主任研究員

窪谷 浩 (くぼたに ひろし)

研究・専門分野
米国経済

経歴
  • 【職歴】
     1991年 日本生命保険相互会社入社
     1999年 NLI International Inc.(米国)
     2004年 ニッセイアセットマネジメント株式会社
     2008年 公益財団法人 国際金融情報センター
     2014年10月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会 検定会員

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