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- 日本の失われた20年~正しい不満は何か?~
1.20年は失われたのか?
1990年代初めにバブル景気が崩壊して以来、日本経済は低迷が続いており、「失われた20年」と呼ばれるまでになっている。確かに、現在の日本経済にかつての躍動感はなく、我々はこれまで考えてもみなかったような困難に直面している。しかし、現状を悲観的に見過ぎているのではないかと思われる点も多い。
毎日見ている我々は気が付かないが、東京の街並みはこの20年間で大きく変化した。国際機関に就職した知人が十数年ぶりに帰国し、自分が浦島太郎になったかのような気分だと言っていた。バブル崩壊後20年も経済成長が低迷しているという数字だけを見てきた知人は、日本がどんなにひどい社会になってしまったのかと心配していたらしいが、街は昔以上にきれいで、とても賑やかだと驚いていた。
2.驚くべき変化
最近、満員電車の中で新聞を折りたたんで読む人の姿を見ることは少なくなった。代わりに増えているのは、スマートフォンで新聞を読む人達である。20年前は、待ち合わせ場所に相手が現れずに、連絡が取れなくて困るなどということもしばしばだったが、今はそんな心配もない。携帯で地図を調べられるので、交番で道を聞く人が減ったという話もあった。日本に住む我々の生活は驚くべき速度で変化し、便利になっている。
20年前には既にカラーテレビの普及率は99%に達していて、乗用車の普及率も80%もあった。生活を便利にしてくれた携帯電話も、2002年には普及率はもう80%以上に達していた。その後の我々の生活を変えたのは、携帯電話の台数の増加ではなく、携帯電話でできることの変化だ。
単なる通話ができる道具は、メールもできるし写真も撮れる、インターネットに繋がって、テレビを見られて本も読める、お金の支払もできる、驚くべき多機能な装置に変身してきた。我々の生活を便利にしてくれたのは、量の拡大ではなく質の改善である。
3.正しい不満の中身
他の国の人たちに比べて、現在の生活に不満だと答える人が日本人には多いことを問題視する意見も多いが、これは日本人の向上心の現れで、悪いことではないと考える。現状に対する不満こそ、進歩のエネルギー源だ。しかし正しい不満を持たないと、鬱屈するだけで進歩にはつながらない。
日本経済はもっと発展することが可能なのに、持てる力を十分発揮できていないのは確かだ。しかし、日本経済はもっと高い水準の経済活動が可能だという意味は、もっと大量にモノを作ればよいということではなく、もっと高度なものを生み出して、人々に提供できるはずだということである。
日本経済が目指すべきことは、質の向上や変化であり、経済発展の形は量の拡大から質の改善に変わっている。活力ある日本経済を取り戻すには、単に時計の針を逆に回して昔成功した様にすれば良いというものではない。これまでとは違った戦略が必要だということを認識することが、日本経済復活の第一歩である。
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