2016年01月04日

【アジア新興経済レビュー】内需拡大も輸出低迷で持ち直しに遅れ

経済研究部 准主任研究員 斉藤 誠

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  1. (実体経済)
    生産面の伸び率(前年同月比)の動きを見ると、内需は回復しているものの、輸出は低迷していることから持ち直しの動きがやや鈍っている。韓国とフィリピンはそれぞれ4ヵ月ぶりにマイナスに転じた。一方、インドは前年同月比+9.8%増と、祭事期に伴う国内需要の拡大を背景に消費財を中心に大きく上昇し、5年ぶりの高水準を記録した。

  2. (消費者物価上昇率)
    11月の消費者物価上昇率(前年同月比)は、14年後半の資源価格下落による下押し圧力は後退し、タイ・インドネシアを除く国・地域で上昇した。インドは祭事期に伴う消費需要の増加やモンスーン期(6-9月)の雨不足による一部食料品価格の高騰により3ヵ月連続で上昇した。一方、インドネシアは14年11月の燃料補助金削減の影響が剥落し、中央銀行のインフレ目標圏内(2015年は3-5%)まで低下した。

  3. (金融政策)
    12月は、韓国・台湾・タイ・インドネシア・フィリピン・インドの中央銀行で金融政策会合が開かれた。政策金利は台湾が引下げ、その他の会合では据え置きとなった。

  4. (12月の注目ニュース)
    -韓国:2016年経済政策方針を公表(16日)
    -フィリピン:次期大統領選 最高裁がポー氏の出馬資格審理へ(28日)
    -インド  :冬季国会でGST法案先送り(23日)

  5. (1月の主要指標)
    1月は、韓国・台湾・フィリピンで10-12月期のGDP統計が公表される。10-12月期は、韓国・台湾では輸出が停滞しているものの、景気刺激策が奏効して回復する見込みである。またフィリピンは引き続き個人消費が堅調を維持し、政府部門の拡大が景気を押上げる構図が続くとみられる。
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経済研究部   准主任研究員

斉藤 誠 (さいとう まこと)

研究・専門分野
東南アジア経済、インド経済

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