2024年03月26日

女性の更年期症状と就労

保険研究部 主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任 村松 容子

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■要旨

従業員等の健康管理を経営的な視点で捉え、戦略的に実践する「健康経営(R)1」の取組みが重要となってきており、企業や健康保険組合等による健康投資・健康経営が進められている。

健康経営に対する関心の高まりの中で、従業員に向けた健康推進の取組みが広がってきているが、経済産業省による「働く女性の健康推進に関する実態調査(2018)2」では、働く女性の約半数が女性特有の健康課題により「勤務先で困った経験がある」と回答しており、女性特有の健康課題に対するサポートが十分でない可能性が示された。仮に、女性特有の健康課題で仕事の生産性が低下したり、昇進や責任の重い仕事に就くことや自分の望むキャリアをあきらめる女性がいるとすれば、女性本人だけではなく企業にとっても損失となる。

拙稿「企業における女性の健康支援策の利用実態と推進に向けた課題3」では、月経に対する配慮を中心に、企業において女性の健康政策が拡がる背景を紹介した。本稿では、更年期に関する企業等の課題を紹介する
 
1「健康経営」は特定非営利活動法人健康経営研究会の登録商標。
2 経済産業省「働く女性の健康推進に関する実態調査(2018)」(https://www.meti.go.jp/policy/mono_info_service/healthcare/downloadfiles/H29kenkoujumyou-report-houkokusho-josei.pdf
3 村松容子「企業における女性の健康支援策の利用実態と推進に向けた課題」ニッセイ基礎研究所 基礎研レポート(2023年3月29日)(https://www.nli-research.co.jp/report/detail/id=74333?site=nli)。


■目次

1――就労女性の更年期症状について~更年期症状があるのは40%程度。更年期症状は雇用や収入に
 影響。しかし、受診している人は少ない。
  1|現在、更年期症状への配慮が注目される理由
  2|女性の更年期における諸症状の実態と影響(既存調査より)
2――40~50代女性の健康課題
  1|更年期障害を自覚しているのは、50代前半をピークとして45~60歳
  2|40~50代は心身のあちこちに不調が出ている可能性
3――40~50代就労女性を取り巻く家庭環境の変化
4――更年期離職を防ぎ、体調を受け入れながら働く場を醸成していくために
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保険研究部   主任研究員・ヘルスケアリサーチセンター兼任

村松 容子 (むらまつ ようこ)

研究・専門分野
健康・医療、生保市場調査

経歴
  • 【職歴】
     2003年 ニッセイ基礎研究所入社

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