2024年02月16日

2023~2025年度経済見通し(24年2月)

経済研究部 経済調査部長 斎藤 太郎

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■要旨
 
<実質成長率:2023年度1.2%、2024年度1.0%、2025年度1.1%を予想>
 
  1. 2023年10-12月期の実質GDPは、国内需要の落ち込みを主因として前期比年率▲0.4%と2四半期連続のマイナス成長となった。新型コロナウイルス感染症の5類移行に伴い社会経済活動が正常化する中でも、民間消費、設備投資は3四半期連続の減少となった。
     
  2. 実質GDP成長率は2023年度が1.2%、2024年度が1.0%、2025年度が1.1%と予想する。2024年前半は内外需ともに下振れリスクの高い状態が続くが、2024年春闘で高い賃上げが実現するもとで、物価上昇率の鈍化によって実質賃金上昇率がプラスに転じることが見込まれる2024年度後半には内需主導の成長に移行するだろう。
     
  3. 名目GDPは実質GDPを上回る伸びが続いており、2023年度の名目GDP成長率は5.2%と32年ぶりの高さとなることが見込まれる。名目GDPの水準は2024年度には600兆円を超えるだろう。
     
  4. 消費者物価上昇率(生鮮食品を除く総合)は、2023年度が2.8%、2024年度が2.1%、2025年度が1.5%と予想する。財価格の上昇率は鈍化しているが、サービス価格は前年比で2%台まで上昇率が高まっている。賃上げに伴う人件費の増加を価格転嫁する動きが続くことから、サービス価格の上昇率は高止まりする可能性が高い。

 
実質GDP成長率の推移(年度)
■目次

1.2023年10-12月期は前期比年率▲0.4%のマイナス成長
  ・輸出が景気の牽引役となることは期待できず
  ・リベンジ消費は不発
  ・2024年の春闘賃上げ率は4.0%と予想
2.実質成長率は2023年度1.2%、2024年度1.0%、2025年度1.1%を予想
  ・2024年1-3月期はほぼゼロ成長に
  ・可処分所得に左右される個人消費
  ・資材価格の高騰が実質設備投資の伸びを抑制
  ・2024年前半は内外需ともに下振れリスクが高い
  ・2023年度の名目GDP成長率は32年ぶりの高さへ
  ・物価の見通し
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経済研究部   経済調査部長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

経歴
  • ・ 1992年:日本生命保険相互会社
    ・ 1996年:ニッセイ基礎研究所へ
    ・ 2019年8月より現職

    ・ 2010年 拓殖大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2012年~ 神奈川大学非常勤講師(日本経済論)
    ・ 2018年~ 統計委員会専門委員

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