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中期経済見通し(2023~2033年度)
経済研究部 経済研究部
- 世界の実質GDP成長率は、コロナ禍からの回復が進展する一方で、長期化する高インフレと金融引き締めの影響で2023年には3%程度まで減速することが見込まれる。その後はインフレ率の低下でいったん持ち直すものの、少子高齢化を背景とした新興国の成長鈍化により、予測期間末には2%台後半まで低下することが予想される。
- 日本の2033年度までの10年間の実質GDP成長率は平均1.1%と予想する。潜在成長率はゼロ%台前半まで低下しているが、新型コロナの感染拡大を受けた景気の急速な落ち込みの影響が大きく、経済の正常化に伴い2020年代半ばには1%程度まで回復することが見込まれる。消費者物価上昇率(除く生鮮食品)は、2022年度の3.0%から2023年度が2.8%、2024年度が1.6%へと低下した後、1%台半ばから後半の推移が続き、10年間の平均で1.6%と予想する。「物価安定の目標」の2%を維持することはできないが、デフレからの脱却は実現するだろう。
- 日本銀行は、2024年度にYCCの撤廃、2025年度にマイナス金利を解除し、金融政策の正常化が進むだろう。長期金利は予測期間末にかけて上昇に向かうが、日本銀行が引き締め的な金融環境を回避するために大幅な上昇を抑制することから、予測期間末でも1%台半ばにとどまることが予想される。
1.高インフレ・低成長が続く世界経済
・コロナ禍の直接的な影響は解消
・高インフレが長期化
・金融環境はタイト化
・景況感は製造業を中心に低迷
・高インフレで世界経済は減速
2.海外経済の見通し
・米国経済-金融引締め、信用収縮などから、当面は潜在成長率を下回る成長が持続
・ユーロ圏経済-危機からの回復に努める欧州経済
・中国経済-今後10年にわたり成長率は引き続き鈍化、構造改革は正念場に
・インド経済-投資主導で6%前後の成長ペースが続く
・ASEAN経済-域内外との連携強化により存在感が高まる
3. 日本経済の見通し
・実質GDPはコロナ禍前のピークを上回る
・女性の労働力には引き続き増加余地
・潜在成長率は1%程度まで回復した後、徐々に低下
・今後10年間の実質GDP成長率は平均1.1%を予想
・今後10年間の消費者物価上昇率は平均1.6%を予想
・インバウンド需要は急回復
・基礎的財政収支は2033年度まで黒字化せず
・経常収支は2030年代前半に赤字へ
4.金融市場の見通し
・日本の金融政策と金利
・米国の金融政策と金利
・ユーロ圏の金融政策と金利
・ドル円レート
5.代替シナリオ
・楽観シナリオ
・悲観シナリオ
・シナリオ別の金融市場見通し
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