コラム
2024年05月10日

投資部門別売買動向(24年4月)~個人は2カ月連続買い越し~

金融研究部 研究員 森下 千鶴

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4月の日経平均株価は、月初に中東の地政学リスクへの懸念を背景に、5日に3万8,992円まで下落した。しかし、同日夜の堅調な米雇用統計を受けて、米国経済の先行きに対する楽観的な見方が広がり、日経平均株価は6日に3万9,000円を回復し、9日に3万9,773円まで上昇した。その後、月半ばにかけて3万9,000円台で推移したが、中旬以降は中東の地政学リスクが拡大したことで、投資家のリスクオフ姿勢が強まり、日経平均株価は、17日に3万8,000円台を割り込むと、19日に3万7,068円まで急落した。月末には中東の地政学的緊張が緩和し、さらに26日の日銀の金融政策維持が好感され、日経平均株価は下げ幅を縮め、月末は3万8,405円で終えた。このように日経平均株価が推移するなか、個人、海外投資家が買い越す一方で、信託銀行が売り越した。
図表1 主な投資部門別売買動向と日経平均株価の推移
2024年4月(4月1日~4月26日)の投資部門別の売買動向をみると、個人は現物と先物の合計で1兆1,790億円の買い越しと、4月では最大の買い越し部門であった。図表2は、個人の売買動向を現物と先物に分けて集計したものである。週次では、日経平均株価が下落した第1,3週に大幅に買い越した。
図表2 個人は2カ月連続の買い越し
図表3は、2024年1月以降の個人の現物と先物の売買動向を、週次で累積したものである。
図表3 個人投資家の累積売買動向
一般的に、個人は株価が上昇した際には売り、下落した際には買うという逆張り姿勢が特徴である。1~2月の株価上昇時には、海外投資家が大幅に買い越す中、個人は売り越しが優勢だった。しかし、2月22日に日経平均株価が1989年の史上最高値3万8,915円を更新し、3月には4万円を突破すると、買い遅れ懸念もあり、3月中旬以降に株価が下落した際には、個人からの積極的な買いが入っていたようだ。
 
また、4月は海外投資家も現物と先物の合計で6,600億円の買い越しだった。日経平均株価が2,400円下落した4月第3週は現物と先物の合計で1兆1,391億円と大幅に売り越したものの、4月第1,2,4週は買い越しており、月次では買いが優勢となった。
図表4 海外投資家も買い越し
一方で、信託銀行は現物と先物の合計で4月に5,092億円の売り越しと、最大の売り越し部門であった。
図表5 信託銀行は5カ月連続の売り越し
 
 

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金融研究部   研究員

森下 千鶴 (もりした ちづる)

研究・専門分野
株式市場・資産運用

経歴
  • 【職歴】
     2006年 資産運用会社にトレーダーとして入社
     2015年 ニッセイ基礎研究所入社
     2020年4月より現職

    【加入団体等】
     ・日本証券アナリスト協会検定会員
     ・早稲田大学大学院経営管理研究科修了(MBA、ファイナンス専修)

(2024年05月10日「研究員の眼」)

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