2018年03月08日

2018・2019年度経済見通し-17年10-12月期GDP2次速報後改定

経済研究部 経済調査室長・総合政策研究部兼任   斎藤 太郎

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1. 2017年10-12月期は前期比年率1.6%へ上方修正

3/8に内閣府が公表した2017年10-12月期の実質GDP(2次速報値)は前期比0.4%(年率1.6%)となり、1次速報の前期比0.1%(年率0.5%)から上方修正された。10-12月期の法人企業統計の結果が反映されたことにより、設備投資(前期比0.7%→同1.0%)、民間在庫変動(前期比・寄与度▲0.1%→同0.1%)が上方修正されたことが成長率上振れの主因である。

民間在庫変動は、1次速報で内閣府の仮置き値が用いられていた原材料在庫、仕掛品在庫がいずれも大幅に上方修正された。ただし、2018年1-3月期の内閣府による仮置き値は、原材料在庫、仕掛品在庫ともに前期差マイナスで、実質GDP成長率に対する寄与度は合わせて前期比▲0.2%程度となっている。1-3月期は少なくとも1次速報では民間在庫変動が成長率の下押し要因になる公算が大きい。

2017年10-12月期の上方修正によって、日本経済は2017年を通して潜在成長率を明確に上回る成長を続けていたことが確認された。内訳をみると、10-12月期は内需寄与度が1次速報の前期比0.1%から同0.4%へと高まり(外需寄与度は前期比▲0.0%で変わらず)、内需主導の経済成長がより鮮明となったが、2017年を通してみれば、好調なのは輸出、設備投資の企業部門である。一方、10-12月期の民間消費は増加に転じたが、7-9月期と均してみれば横ばい圏の動きにとどまり、住宅投資は2四半期連続で減少した。家計部門は低調な推移が続いていると判断される。
(企業収益の改善に陰り)
3/1に財務省から公表された法人企業統計では、2017年10-12月期の経常利益(金融業、保険業を除く全産業)が前年比0.9%と6四半期連続の増加となったが、7-9月期の同5.5%から伸びが鈍化した。製造業が前年比2.5%(7-9月期:同44.0%)と前期から伸びが大きく鈍化したことに加え、非製造業が前年比▲0.0%(7-9月期:同▲9.5%)と小幅ながら2四半期連続の減益となった。
経常利益(季節調整値)の推移 また、季節調整済の経常利益は前期比▲1.7%(7-9月期:同▲2.0%)となり、過去最高水準となった2017年4-6月期から2四半期連続で水準が低下した。低下幅は小さく企業収益が引き続き高水準にあることは変わらないが、人件費や原材料費などのコストが増加しており、利益率の大幅な改善によって収益が急拡大する局面は過ぎたと考えられる。年明け以降は円高が進んでいることもあり、製造業を中心に収益環境はより厳しくなっている。

先行きについては、海外経済の回復や国内需要の持ち直しを背景に企業収益の改善基調は維持されるものの、人件費や原材料費の増加が続くことが見込まれるため、増益のペースは緩やかとなることが予想される。

一方、設備投資(ソフトウェアを含む)は前年比4.3%と5四半期連続で増加し、7-9月期の同4.2%から伸びが若干高まった。非製造業は前年比3.0%(7-9月期:同5.9%)と伸びが鈍化したが、製造業が前年比6.5%(7-9月期:同1.4%)と前期から伸びを高めた。
2017年10-12月期の設備投資は経常利益の伸びを上回ったが、引き続き前年比で一桁前半の伸びにとどまっている。2016年後半から2017年前半にかけて経常利益が二桁の伸びを続けてきたことを踏まえれば、企業の投資スタンスが積極化しているとは言えない。企業の設備投資意欲を反映する「設備投資/キャッシュフロー比率」は2010年頃から50%台の低水準での推移が続いている。

3/2に内閣府から公表された「企業行動に関するアンケート調査(2017年度)」では、今後5年間の実質経済成長率の見通し(いわゆる期待成長率)が1.1%となった。前年度の1.0%からは若干改善したものの、依然として低水準にある1。企業の設備投資意欲が高まり、キャッシュフローに対する設備投資の水準を大きく引き上げるまでには時間がかかるだろう。

また、今後3年間の設備投資増減率の見通しは4.8%と9年連続で増加し、前年度の4.4%から伸びを高めた。ただし、調査対象が上場企業に限られていること2、海外における設備投資が含まれている可能性がある3ことなどから、実績、見通しともにGDP統計の設備投資よりも伸びが高くなる傾向があるため、この数字を額面どおり受け取ることはできないだろう。
設備投資/キャッシュフロー比率と期待成長率の関係/設備投資(名目)の実績と見通し
 
1 過去最低は2002、2008、2016年度の1.0%
2 中堅、中小企業も調査されているが、調査開始が2016年度のため時系列比較ができない
3 同調査の設備投資には、国内、海外の区別がない。一方GDP統計の設備投資は国内向けのみが計上される。
 

2. 実質成長率は2017年度1.8%、2018年度1.2%、2019年度0.9%

2. 実質成長率は2017年度1.8%、2018年度1.2%、2019年度0.9%

(2017年度の成長率見通しを上方修正)
2017年10-12月期のGDP2次速報を受けて、2/15に発表した経済見通しを改定した。実質GDP成長率は2017年度が1.8%、2018年度が1.2%、2019年度が0.9%と予想する。2017年10-12月期の実績値の上方修正を反映し、2017年度の成長率見通しを0.1%上方修正した。2018、2019年度は変更していない。

2017年10-12月期のGDP1次速報後に公表された2018年1月の経済指標は弱い結果が目立つ。失業率は前月から0.3ポイント低下の2.4%と24年9ヵ月ぶりの水準となったが、景気循環との連動性が高い鉱工業生産は前月比▲6.6%と急速に落ち込んだ。1、2月はもともと稼働日の少なさや中華圏の春節の影響から季節調整が難しく振れが大きくなる傾向がある。また、1月は大雪の影響で一部の工場が操業停止に追い込まれたことも生産の落ち込みを大きくした可能性がある。生産の基調をみるためには、1、2月を均してみる必要があるが、2月の予測指数は前月比9.0%の大幅上昇となっており、1月の結果から生産の基調が変わったと判断するのは早計だ。ただ、2018年1-3月期の鉱工業生産は前期比でマイナスとなり、2016年4-6月期から続く増産が途切れる可能性が高くなった。
個人消費関連指標の推移 家計部門は引き続き厳しい。日本銀行が販売統計を基礎統計として作成している「消費活動指数(旅行収支調整済)」は2018年1月には前月比0.4%の増加となったが、2017年12月に同▲1.0%と大きく落ち込んだ後としては戻りが弱く、1月の水準は2017年10-12月期を0.1%上回るにとどまっている。1月は大雪や生鮮野菜の価格高騰といった一時的な要因により下押しされた面はあるが、消費の基調は依然として弱い。

また、1月の新設住宅着工戸数は前月比▲8.6%減少の85.6万戸(季節調整済・年率換算値)と2016年1月以来、2年ぶりに90万戸を割り込む水準となった。

日本経済は着実な回復を続けてきたが、ここにきて変調の兆しがみられる。10-12月期の成長率は上方修正されたが、年明け以降の日本経済は足踏み状態となる可能性が高まっている。
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経済研究部   経済調査室長・総合政策研究部兼任

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

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