2017年10月13日

中期経済見通し(2017~2027年度)

経済研究部 経済研究部

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■要旨
  1. 世界経済は緩やかな回復が続いているが、労働需給が引き締まる中でも賃金、物価上昇率は依然として低水準にとどまっている。今後10年間の平均成長率は先進国では過去10年平均を上回るが、新興国は少子高齢化に伴う潜在成長率の低下などから過去10年平均を下回ることが予想される。
     
  2. 日本はすでに人口減少局面に入っているが、そのペースは想定されていたよりも緩やかで、先行きの見通しも上方修正されている。今後10年程度は人口減少による経済成長への影響を過度に悲観する必要はない。2027年度までの実質GDP成長率は平均1.0%となり、過去10年平均の0.5%よりも高まると予想する。名目GDPの伸びは平均1.8%となり、2023年度に政府目標の名目GDP600兆円が達成されるだろう。
     
  3. 人口減少、少子高齢化が進む中で経済成長率を高めるためには、女性、高齢者の労働参加拡大を中心とした供給力の向上と高齢化に対応した潜在的な需要の掘り起こしを同時に進めることが重要である。
     
  4. 消費者物価上昇率は10年間の平均で1.3%(消費税の影響を除く)と予想する。日本銀行が「物価安定の目標」としている2%を安定的に続けることは難しいが、1%台の伸びは確保し、デフレ脱却は実現する可能性が高い。
実質GDP成長率の推移
■目次

1. 世界経済は緩やかな回復が続くが、低インフレが継続
  ・成長率は持ち直すも、低インフレが継続
  ・新興国は相対的に高い成長を維持するが、伸び率は徐々に低下
2.海外経済の見通し
  ・米国経済-当面は潜在成長率を上回る成長が持続、米国内政治がリスク
  ・ユーロ圏経済-長期停滞から脱却へ、ユーロ制度改革も緩やかに進む
  ・中国経済-中国の成長率は当面は6%台も段階的に低下し3%台半ばへ
  ・新興国経済-新興国は4%台後半の成長が続く
3. 日本経済の見通し
  ・消費低迷の主因は可処分所得の伸び悩み
  ・人口減少に過度の悲観は不要
  ・女性、高齢者の労働参加拡大が鍵
  ・潜在的な需要の掘り起こしが重要
  ・予測期間中の潜在成長率は1%弱まで回復
  ・10年間の実質GDP成長率は平均1.0%を予想
  ・名目GDP600兆円の達成は2023年度と予想
  ・10年間の消費者物価上昇率は平均1.3%を予想
  ・経常収支は2020年代後半に赤字へ
  ・第一次所得収支の黒字は高水準が続く
  ・訪日外国人旅行者数は2020年には4000万人へ
  ・財政収支の見通し
4. 金融市場の見通し
  ・日本の金融政策と金利
  ・米国の金融政策と金利
  ・ユーロ圏の金融政策と金利
  ・為替レート
5. 代替シナリオ
  ・楽観シナリオ
  ・悲観シナリオ
  ・シナリオ別の財政収支見通し
  ・シナリオ別の金融市場見通し
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