2017年09月22日

【アジア・新興国】東南アジア・インドの経済見通し~底堅い消費と回復が遅れていた投資の復調で安定成長へ

経済研究部 准主任研究員 斉藤 誠

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■要旨
  1. 東南アジア5カ国およびインド経済は国毎にバラつきがあるものの、輸出の好調と底堅い消費を支えに堅調な景気が続いている。輸出は昨年後半から電子製品や農産物などを中心に好調に推移している。また消費は企業業績の回復や農業生産の改善を通じた雇用・所得環境の改善、またインフレも鎮静化していることから堅調を維持している。投資はインフラ整備計画が進展する一方、企業の設備投資は回復が遅れ気味になっている。
     
  2. 消費者物価上昇率は、年内まで足元の新興国通貨高の影響で横ばいで推移するが、18年に入ると堅調な内需の拡大に通貨安やエネルギー価格上昇などの物価押し上げ要因が加わって緩やかに上昇すると予想する。
     
  3. 先行きの金融政策は、欧米の金融政策正常化を背景に新興国からの資本流出圧力が高まるリスクを警戒し、年内は金融政策を据え置くだろう。18年は中国経済が減速に向かうと共に各国では物価上昇が続くなか、通貨と物価の安定に向けた調整的な利上げを行なう国もあるだろう。
     
  4. 経済の先行きは、景気の回復ペースこそ落ちるものの、安定した成長は続くと予想する。輸出は海外経済の鈍化やITサイクルの頭打ちなどから増勢が鈍化するものの、伸び率はプラスで推移しよう。民間消費が底堅く推移するなかで企業業績の改善が続き、回復が遅れていた設備投資も上向くだろう。このほか、政府のインフラ整備の着実な進展も引き続き景気をサポートするだろう。
ASEAN5カ国とインドの経済見通し
■目次

1.東南アジア・インド経済の概況と見通し
  ・経済概況:輸出の好調と底堅い消費を支えに堅調な景気
  ・物価:年内は安定推移、18年から緩やかに上昇
  ・金融政策:年内は中立維持、18年に利上げも
  ・経済見通し:輸出の増勢鈍化も底堅い消費と投資の復調で安定成長へ
2.各国経済の見通し
  2-1.マレーシア
  2-2.タイ
  2-3.インドネシア
  2-4.フィリピン
  2-5.ベトナム
  2-6.インド
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経済研究部   准主任研究員

斉藤 誠 (さいとう まこと)

研究・専門分野
東南アジア経済、インド経済

経歴
  • 【職歴】
     2008年 日本生命保険相互会社入社
     2012年 ニッセイ基礎研究所へ
     2014年 アジア新興国の経済調査を担当
     2018年8月より現職

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