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- 【東南アジア経済】ASEANの消費者物価(9月号)~食品価格に頭打ち感、インフレ圧力は鈍化
2016年09月23日
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食料品とエネルギーを除いたコアCPI上昇率は同3.32%増(前月:同3.49%増)と、年明け以降は横ばい圏で推移している。
9月22日に開かれた中央銀行の金融政策会合では、足元のインフレ圧力の後退や前日の米FRBの利上げ見送りを背景に政策金利を0.25%引き下げて5.0%とした。なお、先行きのインフレ率は目標圏内(3-5%)で推移すると予想している。

主要品目別に見ると、食品・飲料は同1.88%増(前月:同1.83%増)と干ばつの影響が燻って小幅に上昇した。また原油価格下落の一巡により、運輸・通信が同1.44%減(前月の同2.03%減)と上昇したほか、住宅・家具も同1.32%減(前月:1.41%減)と上昇した。このほかタバコ・酒類は同13.09%増と2月のタバコの物品税引き上げを受けて二桁増が続いている。
また7月のコアCPI上昇率(生鮮食品とエネルギー除く)は同0.79%増(前月:同0.76%増)と2ヵ月ぶりに上昇したものの、概ね1%を下回る水準を維持している。
CPI上昇率は依然としてタイ銀行(中央銀行)のインフレ目標の範囲内(1-4%)を下回る低水準に止まっているが、中央銀行はインフレ率が年後半に目標圏内まで上昇すると予想している。景気の緩やかな回復が続くなかでは、中央銀行は今後の金融政策余地を確保する観点から政策金利を据え置くものと考えられる。

主要品目別に見ると、運輸は同6.7%減(前月:9.9%減)、通信は同2.4%減(同2.3%減)とそれぞれマイナス幅が縮小した。また酒類・タバコは同19.7%増と、昨年11月のタバコ税と今年3月の酒税の見直しによって引き続き高水準となった。一方、食品・飲料は同3.5%増(前月:同3.8%増)と、7月のレバラン(断食明け大祭)後の需要減退や干ばつの影響が和らぎ低下した。食品・飲料の内訳を見ると、肉類(同6.9%増)は高い伸びとなったものの、野菜(同3.1%増)や海産食品(同5.2%増)、果物(同3.9%増)が前月に続いて低下した。また住宅・光熱は同2.1%増(前月:同2.4%増)と、小幅に低下した。
食品とエネルギーを除いたコアCPI上昇率は同2.2%増(前月:同2.0%増)と、小幅に上昇した。
中央銀行は16年のインフレ率は前年比2~3%増と予想し、また足元のインフレ圧力は弱まっているものの、9月7日の金融政策会合では金融政策を据え置き、2会合連続の利下げとはならなかった。
(2016年09月23日「経済・金融フラッシュ」)
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経歴
- 【職歴】
2008年 日本生命保険相互会社入社
2012年 ニッセイ基礎研究所へ
2014年 アジア新興国の経済調査を担当
2018年8月より現職
斉藤 誠のレポート
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