- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経営・ビジネス >
- マーケティング >
- スマートフォンは金融サービスを変えるか-スマートフォンを介した金融サービス利用者の特徴と利用実態
2016年09月15日
■要旨
近年、急速に普及が拡大してきたスマートフォンは、近年では中高年層における利用の拡大が目立つようになっている。一方、すでに成熟期に入っている若年層においては、PCの保有率を上回る状況も見られるようになっている。また、実際の利用実態としては、電子メールやSNSなどのコミュニケーション利用が中心であり、商品・サービスの購入・取引にも利用されているものの、金融関連の取引については未だ途上といった状況にあることが示された。
スマートフォンを用いた金融関連のサービス利用者の特徴や利用しているサービスを明らかにし、今後の動向に関する示唆を得るため、日経リサーチ社の「金融総合定点調査 金融RADAR2015」を用いて分析した結果、スマートフォンによる金融サービスの利用者は、20~40代の正規就業者の男性が中心であり、一般の商品・サービスについてネット通販の利用者、特にスマートフォンでの購入経験者で利用される傾向にあることが明らかとなった。また、金融意識との関連では、スマートフォンでの金融サービスの利用経験者は金融リテラシー、相談ニーズがともに高い層の構成比が高くなっていた。具体的な金融サービスについては、総じて残高照会や振込、電子マネーのチャージ、株式売買といった、時間や場所を選ばずサービスニーズが生じる取引での利用が多くなっているものの、年代によりやや差異があることも確認された。金融意識の面では、金融取引の利用経験、利用意向ともに金融リテラシーの程度によらず相談ニーズが高いセグメントで相対的に高い傾向も確認された。
スマートフォンは若年層においては既に成熟期に入り、近年では中高年層において急速に普及が拡大していることから、インターネット・サービスを考えるにあたっては、世代を問わずスマートフォンでの利用を前提とした検討が求められる状況にある。
スマートフォンを用いた金融サービスは、現状では20~40代の正規就業者の男性を中心に、主として金融リテラシーや相談ニーズが高い層で利用される傾向にあり、今後についても彼らを中心に様々な金融取引においてスマートフォンの利用が希望されていた。このことは、すべての金融取引について、スマートフォンの画面を前提とした顧客体験設計の重要性を示している。既に主要な金融機関においては複数のデバイスでの利用を前提としてウェブサイトやアプリの開発・改修が進められているが、今後の中高年層や高齢者へのスマートフォンの普及拡大を踏まえれば、これらの顧客層を含めて適切な対応がなされているかについて、再考する必要もあるものと思われる。一方で、多くの金融取引で潜在的に相談ニーズを抱える層ほどスマートフォンチャネルを希望する傾向にあることは、相談・コンサルティングを通じたクロスセル・アップセルの機会が減少する可能性も危惧される。スマートフォンを通じて金融取引を行う利用者をどのように店頭での相談・コンサルティングに誘導していくか、各金融機関においては、顧客ニーズを踏まえた導線設計も急務であるといえよう。
■目次
1――はじめに
2――スマートフォンの普及・利用動向
1 |スマートフォンの普及動向
2 |スマートフォンによるインターネット・サービスの利用動向
3 ――金融関連サービスでの利用動向
1 |スマートフォンによる金融サービス利用者の特徴
2 |利用経験のある金融サービスと今後の意向
4――まとめと若干の含意
近年、急速に普及が拡大してきたスマートフォンは、近年では中高年層における利用の拡大が目立つようになっている。一方、すでに成熟期に入っている若年層においては、PCの保有率を上回る状況も見られるようになっている。また、実際の利用実態としては、電子メールやSNSなどのコミュニケーション利用が中心であり、商品・サービスの購入・取引にも利用されているものの、金融関連の取引については未だ途上といった状況にあることが示された。
スマートフォンを用いた金融関連のサービス利用者の特徴や利用しているサービスを明らかにし、今後の動向に関する示唆を得るため、日経リサーチ社の「金融総合定点調査 金融RADAR2015」を用いて分析した結果、スマートフォンによる金融サービスの利用者は、20~40代の正規就業者の男性が中心であり、一般の商品・サービスについてネット通販の利用者、特にスマートフォンでの購入経験者で利用される傾向にあることが明らかとなった。また、金融意識との関連では、スマートフォンでの金融サービスの利用経験者は金融リテラシー、相談ニーズがともに高い層の構成比が高くなっていた。具体的な金融サービスについては、総じて残高照会や振込、電子マネーのチャージ、株式売買といった、時間や場所を選ばずサービスニーズが生じる取引での利用が多くなっているものの、年代によりやや差異があることも確認された。金融意識の面では、金融取引の利用経験、利用意向ともに金融リテラシーの程度によらず相談ニーズが高いセグメントで相対的に高い傾向も確認された。
スマートフォンは若年層においては既に成熟期に入り、近年では中高年層において急速に普及が拡大していることから、インターネット・サービスを考えるにあたっては、世代を問わずスマートフォンでの利用を前提とした検討が求められる状況にある。
スマートフォンを用いた金融サービスは、現状では20~40代の正規就業者の男性を中心に、主として金融リテラシーや相談ニーズが高い層で利用される傾向にあり、今後についても彼らを中心に様々な金融取引においてスマートフォンの利用が希望されていた。このことは、すべての金融取引について、スマートフォンの画面を前提とした顧客体験設計の重要性を示している。既に主要な金融機関においては複数のデバイスでの利用を前提としてウェブサイトやアプリの開発・改修が進められているが、今後の中高年層や高齢者へのスマートフォンの普及拡大を踏まえれば、これらの顧客層を含めて適切な対応がなされているかについて、再考する必要もあるものと思われる。一方で、多くの金融取引で潜在的に相談ニーズを抱える層ほどスマートフォンチャネルを希望する傾向にあることは、相談・コンサルティングを通じたクロスセル・アップセルの機会が減少する可能性も危惧される。スマートフォンを通じて金融取引を行う利用者をどのように店頭での相談・コンサルティングに誘導していくか、各金融機関においては、顧客ニーズを踏まえた導線設計も急務であるといえよう。
■目次
1――はじめに
2――スマートフォンの普及・利用動向
1 |スマートフォンの普及動向
2 |スマートフォンによるインターネット・サービスの利用動向
3 ――金融関連サービスでの利用動向
1 |スマートフォンによる金融サービス利用者の特徴
2 |利用経験のある金融サービスと今後の意向
4――まとめと若干の含意
経歴
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年05月07日
今週のレポート・コラムまとめ【4/30-5/2発行分】 -
2024年05月02日
為替介入再開、既に連発か?~状況の整理と今後の注目ポイント -
2024年05月02日
米FOMC(24年5月)-予想通り、6会合連続で政策金利を据え置き。量的引締めペースの減速を決定 -
2024年05月01日
ユーロ圏消費者物価(24年4月)-総合指数は横ばい、コア指数は低下 -
2024年05月01日
ユーロ圏GDP(2024年1-3月期)-前期比0.3%、プラス成長に転じる
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
-
2023年07月03日
News Release
【スマートフォンは金融サービスを変えるか-スマートフォンを介した金融サービス利用者の特徴と利用実態】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
スマートフォンは金融サービスを変えるか-スマートフォンを介した金融サービス利用者の特徴と利用実態のレポート Topへ