- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経済 >
- 日本経済 >
- 日本の潜在成長率は本当にゼロ%台前半なのか
2016年08月31日
■要旨
日本の潜在成長率は1980年代には3~4%台だったが、バブル崩壊後の1990年代前半に大きく低下し、1990年代後半以降は概ね1%を割り込む水準で推移している。日本銀行、内閣府、ニッセイ基礎研究所による直近の潜在成長率の推計値は0.2%、0.3%、0.3%といずれもゼロ%台前半となっている。
潜在成長率は推計方法や推計に用いるデータによって数値が異なることに加え、新しいデータの追加によって過去に遡って推計結果が改定されることが多い。たとえば、ニッセイ基礎研究所による潜在成長率の推計値は2007年度が当初の2.1%から1.3%へ下方改定される一方、2010年度が当初の▲0.2%から0.5%へ上方改定されている。
先行きの成長率によって潜在成長率がどのように変化するかをシミュレーションすると、今後3年間の成長率がゼロ%の場合には潜在成長率もほぼゼロ%となるが、1%成長の場合は0.5%、2%成長の場合は1.1%、3%成長の場合は1.6%となる。また、1%以上の成長が続いた場合には先行きだけでなく足もとの潜在成長率も高まることになる。
ゼロ%台前半とされている現在の潜在成長率はあくまでも過去の日本経済を現時点で定量的に捉えたものであり、将来の経済成長を決めるものではない。少なくとも現時点の潜在成長率を所与のものとして日本経済の将来を考える必要はない。
■目次
1――はじめに
2――潜在成長率を巡る問題
1|潜在成長率、GDPギャップの推移
2|潜在GDPの推計方法
3|潜在成長率の寄与度分解
4|改定される潜在成長率
3――潜在成長率の先行き試算
4――おわりに
日本の潜在成長率は1980年代には3~4%台だったが、バブル崩壊後の1990年代前半に大きく低下し、1990年代後半以降は概ね1%を割り込む水準で推移している。日本銀行、内閣府、ニッセイ基礎研究所による直近の潜在成長率の推計値は0.2%、0.3%、0.3%といずれもゼロ%台前半となっている。
潜在成長率は推計方法や推計に用いるデータによって数値が異なることに加え、新しいデータの追加によって過去に遡って推計結果が改定されることが多い。たとえば、ニッセイ基礎研究所による潜在成長率の推計値は2007年度が当初の2.1%から1.3%へ下方改定される一方、2010年度が当初の▲0.2%から0.5%へ上方改定されている。
先行きの成長率によって潜在成長率がどのように変化するかをシミュレーションすると、今後3年間の成長率がゼロ%の場合には潜在成長率もほぼゼロ%となるが、1%成長の場合は0.5%、2%成長の場合は1.1%、3%成長の場合は1.6%となる。また、1%以上の成長が続いた場合には先行きだけでなく足もとの潜在成長率も高まることになる。
ゼロ%台前半とされている現在の潜在成長率はあくまでも過去の日本経済を現時点で定量的に捉えたものであり、将来の経済成長を決めるものではない。少なくとも現時点の潜在成長率を所与のものとして日本経済の将来を考える必要はない。
■目次
1――はじめに
2――潜在成長率を巡る問題
1|潜在成長率、GDPギャップの推移
2|潜在GDPの推計方法
3|潜在成長率の寄与度分解
4|改定される潜在成長率
3――潜在成長率の先行き試算
4――おわりに
03-3512-1836
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年03月19日
韓国政府の優秀外国人材確保政策-その3-韓国政府の他の優秀外国人材の確保政策 -
2024年03月19日
韓国政府の優秀外国人材確保政策-その2-優秀人材特別帰化制度の適用対象を大幅に拡大 -
2024年03月19日
韓国政府の優秀外国人材確保政策-その1-2011年施行された改正国籍法の主な内容 -
2024年03月19日
保険会社の再建と破綻処理等の制度構築の動き(英国)-PRAが「ソルベント・イグジット」の導入について意見募集中 -
2024年03月19日
3億人の年金をどう確保するか(中国)。【アジア・新興国】中国保険市場の最新動向(62)
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年02月19日
News Release
-
2023年07月03日
News Release
-
2023年04月27日
News Release
【日本の潜在成長率は本当にゼロ%台前半なのか】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
日本の潜在成長率は本当にゼロ%台前半なのかのレポート Topへ