- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 金融・為替 >
- 金融市場・外国為替(通貨・相場) >
- 急転直下の円安進行、その持続性は?~マーケット・カルテ8月号
2016年07月21日
月初、英国のEU離脱(Brexit)の余韻が続くなか、100円付近で推移していたドル円レートは、中旬から突如円安基調となり、足元では107円台前半に達している。英国での想定より早い新首相選出、雇用統計をはじめとする米経済指標の改善、日本の大規模な財政出動と金融緩和への期待などの材料により、「日米金融政策の方向感の違い」と「市場のリスク選好」という円安ドル高の条件が一旦揃ったためだ。
ただし、今回にわかに訪れた円安の持続性は期待できない。まず、日銀の追加緩和に関しては、一部でヘリコプターマネーの思惑が高まるなど、過度の期待を織り込んでいる。筆者も早期の追加緩和を予想するが、期待を超えることは至難の技だ。また、今後はBrexit決定後の経済指標が出てくるが、英国を中心とする欧州の指標下振れなどからBrexitの影響への懸念が高まり、リスク回避の円高が再発する可能性がある。米国もBrexitの動向と影響を見極めるべく、しばらく利上げを見送るとみられ、ドル高エンジンも息切れしそうだ。従って、3ヵ月後のドル円は、105円を下回ると予想する。
ユーロ円は、今月上旬に110円に迫った後に切り返し、足元では118円台にある。ユーロ圏は英国と強い繋がりを持つだけに、Brexitの悪影響の波及が最も懸念される地域だ。今後はBrexitへの懸念再発やECBの追加緩和観測に伴うユーロ安圧力が予想される。3ヵ月後の水準は現状比で円高ユーロ安とみている。
長期金利は、一時▲0.3%付近までマイナス幅を広げた後、世界的なリスク選好地合いの中で▲0.2%台前半まで上昇している。ただし、今後は、英国を発端とするリスク回避地合いの再発や日銀の早期追加緩和によって再び低下に向かうと見ている。
ただし、今回にわかに訪れた円安の持続性は期待できない。まず、日銀の追加緩和に関しては、一部でヘリコプターマネーの思惑が高まるなど、過度の期待を織り込んでいる。筆者も早期の追加緩和を予想するが、期待を超えることは至難の技だ。また、今後はBrexit決定後の経済指標が出てくるが、英国を中心とする欧州の指標下振れなどからBrexitの影響への懸念が高まり、リスク回避の円高が再発する可能性がある。米国もBrexitの動向と影響を見極めるべく、しばらく利上げを見送るとみられ、ドル高エンジンも息切れしそうだ。従って、3ヵ月後のドル円は、105円を下回ると予想する。
ユーロ円は、今月上旬に110円に迫った後に切り返し、足元では118円台にある。ユーロ圏は英国と強い繋がりを持つだけに、Brexitの悪影響の波及が最も懸念される地域だ。今後はBrexitへの懸念再発やECBの追加緩和観測に伴うユーロ安圧力が予想される。3ヵ月後の水準は現状比で円高ユーロ安とみている。
長期金利は、一時▲0.3%付近までマイナス幅を広げた後、世界的なリスク選好地合いの中で▲0.2%台前半まで上昇している。ただし、今後は、英国を発端とするリスク回避地合いの再発や日銀の早期追加緩和によって再び低下に向かうと見ている。
(執筆時点:2016/7/21)
このレポートの関連カテゴリ
03-3512-1870
経歴
- ・ 1998年 日本生命保険相互会社入社
・ 2007年 日本経済研究センター派遣
・ 2008年 米シンクタンクThe Conference Board派遣
・ 2009年 ニッセイ基礎研究所
・ 順天堂大学・国際教養学部非常勤講師を兼務(2015~16年度)
(2016年07月21日「基礎研マンスリー」)
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年04月19日
しぶといドル高圧力、一体いつまで続くのか?~マーケット・カルテ5月号 -
2024年04月19日
年金将来見通しの経済前提は、内閣府3シナリオにゼロ成長を追加-2024年夏に公表される将来見通しへの影響 -
2024年04月19日
パワーカップル世帯の動向-2023年で40万世帯、10年で2倍へ増加、子育て世帯が6割 -
2024年04月19日
消費者物価(全国24年3月)-コアCPIは24年度半ばまで2%台後半の伸びが続く見通し -
2024年04月19日
ふるさと納税のデフォルト使途-ふるさと納税の使途は誰が選択しているのか?
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年04月02日
News Release
-
2024年02月19日
News Release
-
2023年07月03日
News Release
【急転直下の円安進行、その持続性は?~マーケット・カルテ8月号】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
急転直下の円安進行、その持続性は?~マーケット・カルテ8月号のレポート Topへ