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- 図表でみる中国経済(過剰債務編)
2016年06月07日
1――中国の債務残高の現状
中国の過剰債務がいずれ世界経済を揺るがすのではとの不安が高まっている。債務の膨張による繁栄が限界に達し、株式市場などを崩壊させる“ミンスキー・モーメント(瞬間)”が到来したとの見方である。過剰債務が圧縮される過程では投資が減って景気が悪くなる。景気が悪化すれば輸入も減って中国向け輸出に依存していた国々の経済にも波及する。また、債務が返済できない企業が増えて金融不安に陥る恐れもある。巨大化した中国経済がこうした事態に到れば世界に影響が及ぶ。
この過剰債務問題を考える上ではまず現状把握が欠かせない。国際決済銀行(BIS)の統計で確認すると、非金融セクターの債務残高は昨年9月末に26.1兆ドル、内訳は[図表1]のようになっている。
その推移を見ると、リーマンショック後に大きく増加しており、2008年12月末との対比では、一般政府向けが1.4倍の対GDP比43.5%、家計向けが2.1倍の同38.8%、非金融企業向けが1.7倍の同166.3%へ増加しており、非金融セクター計では1.7倍の同248.6%に達している[図表2]。
この過剰債務問題を考える上ではまず現状把握が欠かせない。国際決済銀行(BIS)の統計で確認すると、非金融セクターの債務残高は昨年9月末に26.1兆ドル、内訳は[図表1]のようになっている。
その推移を見ると、リーマンショック後に大きく増加しており、2008年12月末との対比では、一般政府向けが1.4倍の対GDP比43.5%、家計向けが2.1倍の同38.8%、非金融企業向けが1.7倍の同166.3%へ増加しており、非金融セクター計では1.7倍の同248.6%に達している[図表2]。
2――国際比較して見ると
3――過去の日本との類似点と相違点
中国の債務残高の現状をバブル崩壊後(1994年末)の日本と比較してみたい。当時の日本の非金融企業向け債務残高は対GDP比で149.2%と現在の中国とほぼ同じレベルにあった。一方、家計向けは同71.6%で現在の中国より多く、一般政府向けも同93.6%(1997年末)で、国際通貨基金の統計を参考に1994年末を推計すれば、現在の中国の2倍前後だったものと見られる。
日本ではその後、非金融企業向けの債務残高が減少に転じると同時に、一般政府向けが増加して肩代わりする形となった[図表5]。従って、中国でも今後は当時の日本と同様の肩代わりが起こる可能性があるだろう。そして、非金融企業向け債務残高は当時の日本よりやや多いものの、一般政府向けや家計向けはむしろ少ないので、肩代わりする余地は大きいと思われる。また、経済の発展段階も当時の日本とは異なる。当時の日本は既に先進国だったためキャッチアップ型で経済発展する余地は小さかったが、現在の中国にはその余地がまだある。これらの類似点と相違点を踏まえた上で、中国の過剰債務が今後どのように調整されていくのか注目したい。
日本ではその後、非金融企業向けの債務残高が減少に転じると同時に、一般政府向けが増加して肩代わりする形となった[図表5]。従って、中国でも今後は当時の日本と同様の肩代わりが起こる可能性があるだろう。そして、非金融企業向け債務残高は当時の日本よりやや多いものの、一般政府向けや家計向けはむしろ少ないので、肩代わりする余地は大きいと思われる。また、経済の発展段階も当時の日本とは異なる。当時の日本は既に先進国だったためキャッチアップ型で経済発展する余地は小さかったが、現在の中国にはその余地がまだある。これらの類似点と相違点を踏まえた上で、中国の過剰債務が今後どのように調整されていくのか注目したい。
三尾 幸吉郎
研究・専門分野
(2016年06月07日「基礎研マンスリー」)
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