2016年05月27日

消費者物価(全国16年4月)~食料(生鮮食品を除く)の上昇率鈍化が鮮明に

経済研究部 経済調査室長   斎藤 太郎

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1.コアCPI上昇率は2ヵ月連続のマイナス

消費者物価指数の推移 総務省が5月27日に公表した消費者物価指数によると、16年4月の消費者物価(全国、生鮮食品を除く総合、以下コアCPI)は前年比▲0.3%(3月:同▲0.3%)と2ヵ月連続のマイナスとなり、下落率は前月と変わらなかった。事前の市場予想(QUICK集計:▲0.4%、当社予想も▲0.4%)を上回る結果であった。

食料(酒類を除く)及びエネルギーを除く総合は前年比0.7%(3月:同0.7%)、総合は前年比▲0.3%(3月:同▲0.1%)であった。

コアCPIの内訳をみると、電気代(3月:前年比▲9.0%→4月:同▲9.9%)、ガス代(3月:前年比▲9.5%→4月:同▲10.6%)は下落幅が拡大したが、ガソリン(3月:前年比▲20.5%→4月:同▲16.0%)、灯油(3月:前年比▲27.8%→4月:同▲26.8%)の下落幅が縮小したため、エネルギー価格の下落率は3月の前年比▲13.3%から同▲12.6%へと縮小した。
消費者物価指数(生鮮食品除く、全国)の要因分解 一方、2%程度の高い伸びが続いていた食料(生鮮食品を除く)は円高による輸入物価下落の影響から前年比1.5%(3月:同2.0%)と伸び率が大きく鈍化した。

なお、4月は年度替わりの料金改定が行われやすい月である。補習教育(高校・予備校)(3月:前年比0.9%→4月:同2.5%)、プロ野球観戦料(3月:前年比0.0%→4月:同1.9%)、ゴルフプレー料金(3月:前年比▲5.0%→4月:同1.1%)など、教育、教養娯楽サービス関連の一部に値上げの動きがみられたが、物価全体に与えるインパクトは限定的にとどまった。

コアCPI上昇率を寄与度分解すると、エネルギーが▲1.16%(3月:▲1.23%)、食料(生鮮食品を除く)が0.34%(3月:0.45%)、その他が0.52%(3月:0.49%)であった。
 

2.物価上昇品目数は6割を超えるが、先行きは減少へ

消費者物価(除く生鮮食品)の「上昇品目数(割合)-下落品目数(割合)」 消費者物価指数の調査対象524品目(生鮮食品を除く)を、前年に比べて上昇している品目と下落している品目に分けてみると、4月の上昇品目数は344品目(3月は354品目)、下落品目数は134品目(3月は121品目)となった。

上昇品目数の割合は65.6%(3月は67.6%)、下落品目数の割合は25.6%(3月は23.1%)、「上昇品目割合」-「下落品目割合」は40.1%(3月は44.5%)であった。

前月から上昇品目数は減少したが、引き続き6割以上の品目が値上がりしており、物価上昇の裾野の広がりは維持されている。ただし、東京都区部の5月分では上昇品目数の割合が低下(4月:54.3%→5月:50.7%)しており、全国でも今後上昇品目数が減少し始める可能性が高い。

3.コアCPIのプラス転化は年末頃か

16年5月の東京都区部のコアCPIは前年比▲0.5%(4月:前年比▲0.3%)と5ヵ月連続の下落となり、下落率は前月から0.2ポイント拡大した。事前の市場予想(QUICK集計:▲0.4%、当社予想も▲0.4%)を下回る結果であった。

エネルギー価格の下落率は前年比▲16.0%と4月の同▲16.4%からほぼ変わらなかったが、食料(生鮮食品を除く)(4月:前年比1.4%→5月:同1.1%)、家具・家事用品(4月:前年比1.9%→5月:同0.8%)、被服及び履物(4月:前年比1.7%→5月:同1.0%)の上昇率低下がコアCPIを押し下げた。
消費者物価指数(生鮮食品除く、東京都区部)の要因分解 食料(生鮮食品を除く)の上昇率は直近のピークである15年12月の前年比2.2%から5ヵ月で1ポイント以上低下し、コアCPI上昇率への寄与度は0.2ポイント以上縮小した。円高の影響から輸入物価ベースの食料品は前年比で二桁の大幅な下落が続いており、消費者物価ベースの食料は先行きも伸び率の鈍化傾向が続くことが予想される。
東京都区部のコアCPI上昇率のうち、エネルギーによる寄与が▲1.08%(4月:▲1.10%)、食料(生鮮食品を除く)が0.24%(4月:0.29%)、その他が0.34%(4月:0.51%)であった。
 
原油価格(ドバイ)は1月中旬の1バレル=20ドル台半ばから足もとでは40ドル台後半まで上昇しているが、電気代、ガス代は原油価格の動きが遅れて反映されること、円高で原油価格上昇の影響は一部相殺されることなどから、消費者物価のエネルギー価格は夏場までは前年比で二桁のマイナスを続ける可能性が高い。また、年明け以降に進んだ円高に伴う輸入物価下落の影響で食料品やその他の上昇率も鈍化傾向が続く可能性が高い。現時点では、コアCPI上昇がプラスに転じるのは円高、原油安の影響がほぼ一巡する16年末頃になると予想している。
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経済研究部   経済調査室長

斎藤 太郎 (さいとう たろう)

研究・専門分野
日本経済、雇用

(2016年05月27日「経済・金融フラッシュ」)

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