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- 「ラストマンになる」という生き方~現代ビジネス版 『言志四録』 ともいうべき語録から~
巨大企業の大改造
同書の副題に「日立グループのV字回復を導いた『やり抜く力』」とあるように、就任当時、リーマンショックの影響もあり、同社は製造業で過去最悪の8,000億円近い赤字に陥っていた。指名委員会からの要請とはいえ、それがもう一年続くと日立は無くなるとまで言われた時期の社長就任であった。その後、社長兼会長として何をどう実行したかは重要だが、ここでは割愛する。
ラストマンという覚悟
変化の時代にあって、過去の成功体験は現状維持を助長し、停滞と衰退の始まりという。事業改革時の意思決定から実行に至るまでの要諦が、5つにまとめられている。(1)現状分析⇒(2)未来予測⇒(3)戦略構築⇒(4)説明責任⇒(5)断固実行。特に、(4)では相手が納得しなければ無意味、(5)では何をするにせよ抵抗勢力は必ずいる、との指摘は説得的である。
変革期のリーダー資質
- 社長は出世レースの最終ゴールではない。業績を伸ばすことを請け負う、単なる「専門職」である。
- 自分が思っている自分と、まわりが見ている自分はまるで違う。「自分の目」以外の客観的な評価を知っておかないと、何をどう直すべきかが分からない。
- ビジネスの世界は、常に上流に向かって舟を漕いでいるようなもの。油断していると、流されてしまう。舟の中だけ見ていると、自分が今どの流れにいるのか分からなくなる。
幕末維新の英傑に影響を与えた語録に通じるもの
正直、今でも自信はないが、『ザ・ラストマン』に込められた想いと共通するものを感じることはできる。その意味で、同書は現代ビジネス版『言志四録』と呼べるのではないだろうか。“時代を創るリーダー”に求められる心構えと実行力の本質は変わらないと思うからである。
川村 雅彦
研究・専門分野
(2016年04月19日「研究員の眼」)
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