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- 名古屋オフィス市場の現況と見通し(2016年)
2015年後半に大名古屋ビルヂングとJPタワー名古屋が名古屋駅前に竣工した。ともに高い稼動での開業となり、懸念されていたような供給過剰は発生していない。名古屋市全体として需要は強く市況は堅調に改善しているが、地区別や規模別にみると改善度合いに若干の格差も見られる。本稿では名古屋オフィス市場の現況把握とともに、2021年までのオフィス賃料の将来予測を行う。
■目次
1. はじめに
2. 名古屋のオフィス空室率・賃料動向
3. 名古屋のオフィス需給と地区別動向
4. 名古屋の新規供給・人口見通し
5. 名古屋のオフィス賃料見通し
6. おわりに
1. はじめに
1 2014年の見通し結果は竹内一雅「名古屋オフィス市場の現況と見通し(2015年)」(2015.2.24)ニッセイ基礎研究所を参照のこと。
2. 名古屋のオフィス空室率・賃料動向
空室率が低下する中で、成約賃料も着実に上昇している(図表-2)。三幸エステートと共同で開発しているオフィスレント・インデックス(成約賃料指数)によると、2015年下期の成約賃料は前期比+10.4%、前年同期比+4.7%の上昇だった。成約賃料は直近の底値(2012年下期)から+25.7%の上昇となり、ファンドバブル期の高値(2008年下期)の86.5%水準まで回復してきた。
三鬼商事によると、名古屋ビジネス地区3の空室面積は2010年をピークに順調に減少してきており、2015年も需要は非常に強かったが、大規模オフィス2棟の大量供給の結果、わずかではあるが(前年比+9百坪増)5年ぶりの増加となった(図表-4)。需要の強さから空室面積は大きく減少してきたが、2015年末時点で7.2万坪(2010年ピーク時の58.7%の水準)と、かなりの面積が賃貸されずに残っている。
2 三幸エステートの定義による。大規模ビルとは基準階面積200坪以上のビルをいう。その他大型ビルは同100~200坪未満、中型は同50~100坪未満、小型は同20~50坪未満のビル。
3 三鬼商事の定義による。名古屋の主要4地区(名駅地区、伏見地区、栄地区、丸の内地区)からなる。
3. 名古屋のオフィス需給と地区別動向
三鬼商事のデータから、名古屋ビジネス地区内の賃貸面積の増加を、新築ビルと既存ビルに分けてみると、2015年の賃貸面積の増加は全て新築ビルの増加で説明でき、既存ビルではわずかな減少となった(図表-7)。結果的に、2015年の賃貸面積の増加は、新規の大量供給に吸収されたことになるが、移転元である既存ビルでの減少がほとんどなかったのは、館内増床や拡張移転、新規進出、自社ビルや郊外からの移転など、活発なオフィス需要の増加によるものだ。
現在、名古屋では、名駅地区(ビジネス地区オフィス賃貸可能面積の33.5%)と栄地区(同30.3%)、伏見地区(同26.3%)に主にオフィスは立地している。このうち、名駅地区では2015年の大規模ビルの竣工により、ビジネス地区内での構成比は昨年の30.5%から一年で+3ポイントの大幅な上昇となった(図表-9)。
名古屋ビジネス地区全体で、昨年(2014年)の賃貸可能面積の増減は▲1.0千坪の減少、賃貸面積は+1.9万坪の増加だったが、2015年には名駅地区での大規模ビルの竣工により、賃貸可能面積は+3.7万坪の増加、賃貸面積は+3.6万坪の増加と急拡大し、それに伴い各地区の面積増加にも大きな変化があった(図表-10)。2015年の賃貸面積の増分は、名駅地区で+3.3万坪、伏見地区で+3.5千坪、丸の内地区で+1.7千坪であったが、栄地区でのみ▲2.7千坪の減少であった。空室面積は、名駅地区(+7.0千坪)と栄地区(0.1千坪)で増加し、伏見地区(▲3.3千坪)と丸の内地区(▲2.9千坪)で減少した。
4 ネット・アブソープションとは調査期間内のオフィス需要(稼動面積)の増減のことであり、「期初竣工済みビル募集面積」+「新規供給面積」-「期末竣工済みビル募集面積」で算出している。
5 ファンドバブル期(2005年~2008年)の四年間の新規供給は12.9万坪、ネット・アブソープションは13.3万坪であり、最近四年間(2012年~2015年)の新規供給は6.0万坪、ネット・アブソープションは13.6万坪だった。
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