2017年11月08日

東京都区部の若年人口-1970年~2015年に20~24歳人口は63%減

基礎研REPORT(冊子版)11月号

竹内 一雅

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東京都区部でも若年人口が大幅に減少していることをご存知だろうか?

東京都区部には地方から多くの人が転入しており、2016年の東京都区部への転入超過数は5万7千人だった[図表1]。2015年からは若干の減少となったが、高水準での純流入が続いており、特に、若年層の15~29歳(日本人のみ)では7万8千人という高水準の転入超過数だった。
図表1:東京都区部の転入超過数の推移(外国人含む)
図表2:東京都区部の20-24歳人口と20-24歳の女性/男性人口比率 このような大幅な若年人口の純流入が続いている東京都区部においても、長期的に見ると若年人口は大きく減少しており、経済や働き方にも影響を与えていると思われる。

1970年から2015年の45年間に、東京都区部の総人口は+4.9%増加したが、若年層の15~29歳に着目すると、▲52.3%の減少で、特に20~24歳では▲63.1%という大幅な減少となっている[図表2]。ちなみに65歳以上では+322.1%の大幅な増加だった。


 
東京都区部は、全国で最も求人倍率が高く人手不足が最も深刻な地域のひとつ1だが 、若年層の人手不足の理由のひとつに、全国各地と同様、東京都区部においても若年人口の減少が続いていることがあげられるだろう。
 
1 東京都の4~6月の有効求人倍率(季節調整値)は2.06(全国平均は1.49)、新規求人倍率(季節調整値)は3.31(同2.23)で、ともに全国で最も高い数値となっている。
図表3:東京都区部の若年層の年齢別人口増加数 東京都区部における若年人口の長期的な変化として、女性比率の上昇もあげられる。1970年から2015年の東京都区部の15~29歳人口をみると、男性人口は▲55.5%減だったが、女性は▲48.6%減と相対的に減少率は小さかった。その結果、この年齢層の女性/男性比率は85%から99%まで上昇し、男性と女性の数はほぼ同数となった[図表2]。都区部では最近、宅配便の配達員や建設現場で女性の従業員を目にすることが多くなったが、各企業が女性の働きやすい職場環境の整備などを進めていることに加え、こうした人口構造の変化も背景にあると思われる。



若年人口に関しては、外国人の増加も、最近の大きな変化といえる。都区部ではコンビニエンスストアやファーストフード店で多くの若い外国人が勤務しているのを見ることができるが、外国人人口の増加を反映したものといえるだろう。2016年に東京都区部の人口は9万7千人増加したが、このうち33%に相当する3万2千人が外国人だった。特に、20~24歳の年齢層では、人口増加(日本人を含めた総数)の51.5%を外国人が占めており、25~44歳では日本人が▲3万人減の一方、外国人は1万4千人の増加だった[図表3]。
地方在住の方の中には、東京都区部の若年人口はさほど減少していないと思われている方も多いかもしれない。しかし、上記のように、長期的にみると、全国と同様に東京都区部でも若年人口は大幅に減少し、人口構成も女性比率の上昇や外国人の増加など大きな変化が見られるのだ。

若年層の人口動向は、賃貸住宅需要をはじめ不動産需要に大きな影響を与えている。少子化と人口構造の変化が急速に進む現在、不動産投資や開発などを行う場合にも、東京都区部ならば人口減少の影響は少なく問題ないだろうと考えるのではなく、収益性や価格などに加え、人口・世帯構造の現況や将来見通しなど、統計をはじめとする数値データに基づいた詳細な分析がこれまで以上に必要になっていると思われる。
 
 
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竹内 一雅

研究・専門分野

(2017年11月08日「基礎研マンスリー」)

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