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東京都心部Aクラスビルのオフィス市況見通し(2016年)-2016年~2022年のオフィス賃料・空室率

竹内 一雅
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東京都心部Aクラスビル市況は、昨年に引き続き市場の改善が進んでいる。特に空室率の改善は大きく、成約賃料も2013年以降の新規供給がさほど多くなかったことから上昇がみられた。ただし、大規模ビルでのまとまった空室が少なくなる中で需要の伸びは縮小してきている。本稿では東京都心部のAクラスオフィス市況を概観した上で、2022年までの賃料と空室率の予測を行う。
■目次
1.はじめに
2.東京都心部Aクラスビルの空室率・賃料の推移
3.東京都心部Aクラスビルの賃貸可能面積・賃貸面積・空室面積
4.今後のAクラスビル新規供給、都区部オフィスワーカー数の見通しと経済見通し
5.東京都心部Aクラスビル市況見通し
6.おわりに
1.はじめに
2.東京都心部Aクラスビルの空室率・賃料の推移
東京都心部のAクラスビルとBクラスビル3の空室率の推移を見ると、Aクラスビルは2012年の都心部での大量供給時に空室率が大幅に上昇したが、Bクラスビルの空室率は上昇せず、2011年Q1期(7.7%)以降、下落が続いている(図表-3)。2015Q4期の空室率はAクラスビルで3.3%、Bクラスビルで3.2%だった。
三幸エステートとニッセイ基礎研究所が共同で開発したオフィスレント・インデックスによると、Aクラスビルはリーマンショック後の底値から2015年Q4期までに+66.8%上昇し、Bクラスビルは+45.0%の上昇となった(図表-4左図)。Aクラスビルの賃料は2015Q4期に下落が見られたが、Bクラスビルでは2015年初めからほぼ横ばいで推移している。
オフィスレント・インデックスの前年同期比変化率をみると(図表-4右図)、Aクラスビルの賃料上昇は15四半期続いており、ファンドバブル期の賃料上昇期の16四半期の上昇や、リーマンショック後の下落期の14四半期の下落にほぼ並んでいる。すでに4年近く賃料上昇期が続いており、過去の賃料サイクルから考えると、Aクラスビルでは賃料下落リスクが高まりつつある。
3. 東京都心部Aクラスビルの賃貸可能面積・賃貸面積・空室面積
三鬼商事のデータから都心5区全体の状況をみると、2015年の賃貸面積の増加は10万坪を上回っており、空室面積は約10万坪の減少と好調が続いている(図表-6左図)。月次の面積変化を見ると、消費税率の引き上げから半年後の2014年10月から賃貸面積の前月比増分が大幅に縮小しており、2015年に月次で2万坪以上の増加が見られたのは大規模ビルの新規供給時の2回のみだった(図表-6右図)。2015年の空室面積の減少(▲10万坪の減少)の約半分は、賃貸可能面積の減少によるものと考えられる。現在、築浅の大規模ビルではまとまった空室が確保できなくなっているといわれており、こうした事情も新規の拡張移転などを抑制している可能性がある。
(2016年02月10日「不動産投資レポート」)
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