2016年02月04日

Jリートは4年ぶりに下落。2015年訪日外国人客数は47%増加-不動産クォータリー・レビュー2015年第4四半期

金融研究部 不動産調査室長 岩佐 浩人

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3.不動産サブセクターの動向

(1)オフィス
東京のオフィス市場は、空室率が大きく低下している。三鬼商事によると12月の都心5区空室率は前月比0.16%低下の4.03%となり、オーナー優位の目安とされる5%を6カ月連続で下回った。他の主要都市の空室率も軒並み低下している(図表-9)。

三幸エステートとニッセイ基礎研究所が共同で開発したオフィスレント・インデックスによると、2015年第4四半期の東京都心部Aクラスビル賃料は前期比▲7.8%下落の32,872円となった(図表-10)。過去2期で14%超上昇した反動から下落したものの、前年比では15期連続でプラスを維持している。森ビルの調査によると、2016年の大規模ビル(東京23区)の供給量は107万㎡で過去平均(103万㎡)をやや上回る見通しだが、ニッセイ基礎研究所では現在の賃料上昇サイクルは少なくとも今年いっぱい維持するとみている。
 
図表-9 主要都市のオフィス空室率/図表-10 東京都心部Aクラスビル賃料(前年比)
(2)賃貸マンション
東京都心5区のマンション賃料は、引き続き上昇基調にある。2015年11月は、前年比で千代田区(+8.6%)、中央区(+6.2%)が大きく上昇した(図表-11)。また、東京の高級賃貸マンションについても空室率の低下に伴い賃料が上昇しており、12月は前年比3.5%上昇の15,979円/月坪となった(図表-12)。
 
図表-11 東京都心5区のマンション賃料/図表-12 高級賃貸マンションの賃料と空室率
(3)商業施設・ホテル・物流施設
商業動態統計によると、2015年10-12月の小売販売額(既存店、前年同期比)は、百貨店が+0.5%、スーパーが+0.3%、コンビニエンスストアが+1.6%となった(図表-13)。2015年全体(既存店)でも消費増税に伴う落ち込みの反動が消えたことなどから、百貨店が+0.5%、スーパーが+0.3%、コンビニエンスストアが+0.9%となり、いずれの業態も底堅く推移している。
 
図表-13 百貨店・スーパー・コンビニエンスストアの月次販売額(既存店、前年比)
全国61都市のホテル客室稼働率(2015年12月)は前年同月比0.9%上昇の76.8%となり、年間を通じて過去最高水準で推移した(図表-14)。2015年の訪日外国人客数は前年比47%増の約1,973万人となり3年連続で過去最高を更新した。円安やビザの発給要件緩和、免税制度の拡充などを背景に、政府目標の「2020年2,000万人」にほぼ到達した。国・エリア別にみると、中国が前年比107%増加し499万人となった。続いて韓国、台湾の順に多く、3つのエリアで全体の64%を占める(図表-15、16)。また、2015年の訪日外国人の旅行消費額は前年比71%増加の約3.4兆円となり4、そのうち約4割が中国である。
図表-14 ホテル客室稼働率の暦年月次ベース(全国)/図表-15 訪日外国人客数(年間)/図表-16 国・地域別の訪日外客数(2015年)
 
「半導体などの電子部品(3.6兆円)、自動車部品(3.4兆円)の輸出額に匹敵する規模で、日本経済を下支えする存在となっている」(日本経済新聞、2016.1.20)
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金融研究部   不動産調査室長

岩佐 浩人 (いわさ ひろと)

研究・専門分野
不動産市場・投資分析

経歴
  • 【職歴】
     1993年 日本生命保険相互会社入社
     2005年 ニッセイ基礎研究所
     2019年4月より現職

    【加入団体等】
     ・一般社団法人不動産証券化協会認定マスター
     ・日本証券アナリスト協会検定会員

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