- シンクタンクならニッセイ基礎研究所 >
- 経営・ビジネス >
- 環境経営・CSR >
- 国連責任投資原則におけるESG投資と受託者責任
長期にわたる運用だけに、パフォーマンスへの寄与についてはまだ証明されつつある段階だが、ESG問題を考慮して長期的な運用パフォーマンスの向上を目指す考え方は広く世界に受け入れられ、本原則は2006年の発足以降、署名者とその運用資産を着実に増加させている(図表2)。日本では、2015年12月30日時点で、年金基金や運用機関等による署名数は38と世界全体1,446の3%に満たないものの、2015年1年間で8署名にのぼるなど、関心の高まりを示している4。
GPIFは本原則への署名に際して、「ESGを考慮したスマートベータやアクティブ運用については、過去の運用実績も勘案し、超過収益が獲得できるとの期待を裏付ける十分な根拠を得ることを前提に取り組むこととし、研究を継続する」と発表している。日本においても、今後、ESG問題の運用パフォーマンス寄与について、運用実績等に基づくエビデンスの蓄積が待たれるところである。
本原則の「最大限の利益を最大限追求する」とは、リターンの最も高い運用を行うということでなく、「受益者のために長期的視点に立ち」、リスク・リターンの関係に配慮した合理的な運用方法によって受益者の利益の最大化を追求することだろう。その際には、受益者の運用委託の目的、意向等を踏まえることも求められるだろう。本原則のように「受託者責任に反しない範囲」で、「運用活動と広範な社会的利益とがより整合性のとれたものとなる」ESG投資であれば、受益者として歓迎すべきはないだろうか。
このレポートの関連カテゴリ
江木 聡
研究・専門分野
公式SNSアカウント
新着レポートを随時お届け!日々の情報収集にぜひご活用ください。
新着記事
-
2024年03月28日
“ガソリン補助金”について改めて考える~メリデメは?トリガー条項との差は? -
2024年03月28日
健康無関心層へのアプローチ -
2024年03月28日
中国経済:景気指標の総点検(2024年春季号) -
2024年03月28日
高齢者就業への期待と課題(中国) -
2024年03月28日
中国における結婚前の財産分与から見た価値観の変化
レポート紹介
-
研究領域
-
経済
-
金融・為替
-
資産運用・資産形成
-
年金
-
社会保障制度
-
保険
-
不動産
-
経営・ビジネス
-
暮らし
-
ジェロントロジー(高齢社会総合研究)
-
医療・介護・健康・ヘルスケア
-
政策提言
-
-
注目テーマ・キーワード
-
統計・指標・重要イベント
-
媒体
- アクセスランキング
お知らせ
-
2024年02月19日
News Release
-
2023年07月03日
News Release
-
2023年04月27日
News Release
【国連責任投資原則におけるESG投資と受託者責任】【シンクタンク】ニッセイ基礎研究所は、保険・年金・社会保障、経済・金融・不動産、暮らし・高齢社会、経営・ビジネスなどの各専門領域の研究員を抱え、様々な情報提供を行っています。
国連責任投資原則におけるESG投資と受託者責任のレポート Topへ